ぬるま湯を望む人は、大学の外側にも
教授たちだけではありません。ぬるま湯を望む人は、大学の外側にも存在します。文科省や厚労省などの官僚たちです。
彼らは在任中や退官後に大学教授として再就職することをあてにしています。つまり、天下りです。官僚の天下りは国家公務員法で禁止されていますが、今も数々の抜け道があり、とりわけ大学は大きな受け皿となっています。「公募に応じて」という体裁をとりながら、実は前職の力にものを言わせて、論文を一本も書かずに教授に収まるわけです。
そんな彼らにとって、天下り先がハードな環境になるのはもっとも避けたいところ。将来の自分の首を絞めるような決まり事をつくるはずがないのです。
この思惑がある限り、大学のぬるま湯環境は変わらないでしょう。逆に言えば、大学への天下り規制が強化されれば、日本の研究環境も少しは向上するかもしれません。