大卒以上の「人材」は
都市部に流入

 そんな若者たちが職を求めて目指す都市のランキングが、先日発表された。トップ3位を占めたのはやはり北京、深セン、上海の三大スーパー大都市。続いて「商業の都」といわれる広東省広州市、アリババなど大手IT企業の本部が雲集する浙江省杭州市、伝統的な商業都市である江蘇省南京市、同蘇州市、四川省成都市、自動車メーカーが集まる湖北省武漢市、広東省仏山市など、経済的に豊かなことが知られる地方都市が並んだ。

 特に「人材」と呼ばれる大卒以上の高学歴者になると、前述したような人気トップ都市への流入率は流出率を大きく上回り、逆に地方の小都市では流出率が流入を上回るなど、「大都市を離れたくない人材」の姿がくっきりと浮かび上がった。

 これは中国の生活資源の集中度からして、避けられない現象といえる。生活資源は都市を中心に形成されており、地方になればなるほど放っておかれる。都市で生まれ育った人たちは当然地方には行きたがらないし、地方出身者は都市を目指してこそ「出世」を意味するのは、昔から変わらない。

 だが、厳しい新型コロナ措置が続き、また社会へ送り出される「人材」の激増によって就職難が叫ばれる中、若い世代の人生設計にちょっとした変化も起きている。

「30万円で鶴崗市に家を買った、天国」
25歳女性の投稿が話題に

「1.5万元で46平米の家を買って、5万元で改装し、月1000元で家政婦を雇って掃除や料理を任せて暮らしている。大都市のローン地獄から解放されて天国よ」

 今年の10月、SNSに投稿されたこんな書き込みが多くの若者の注目を引いた。投稿者は25歳の画家の女性で、昨年まで暮らしていた江蘇省南京市から中国北端の黒竜江省鶴崗市に引っ越したという。

 1.5万元は日本円にして約30万円。最初にこの書き込みを目にした時、目を疑った。北京や上海などの大都市のマンションでは1.5万元では1平米単価にもならない。一般的な地方都市であっても、たとえ中古物件だろうが1軒の価格としてはあり得ない額だ。だからあっという間に話題になった。