本当に必要な会話の切り口(1)公開情報から活路を見いだす
とはいえ、お客様との関係構築のためには、初回訪問時に特有の「緊張感のアイス」を溶かしたほうがよいでしょう。
では、新規営業において、ましてやオンラインでコミュニケーションを取ることが増えた現代の営業活動において、どんなアイスブレイクをしたらいいのでしょうか。
考え方は大きく2つあります。(1)公開情報から活路を見いだす、(2)自分の体験から共通項を手繰り寄せる、です。
公開情報とは、文字通り世の中に公表されている情報です。ウェブサイトでも、新聞でも、出版物でも何でも構いません。
対話の主語を最初から「個人」にしてしまうと、相手は答えにくかったり、ストレスを感じたりします。そのため、主語を「会社」にして、今まさに取り組んでいることや、事業の実績について(ただし、好業績の場合に限る)、あるいはウェビナーに参加した感想を述べるのもよいでしょう。
具体的には、次のような切り口があります。
「○○のプレスリリースおめでとうございます!あれだけ大規模なプレスリリースですと、準備に相当時間がかかったのではありませんか?」
「先日の○○のウェビナーについて、視聴はできなかったのですが大変反響があったそうですね、いかがでしたか!?」
このような感じで、実際にお客様が担当する領域に近ければ近いほど、話は盛り上がります。仕事として取り組んでいることを、称賛・評価されて嫌な気持ちになる人はいません。主語を、個人から「事業」「サービス」「会社」と広げることで、お客様が気持ちよく話してくれる環境を作れるでしょう。
また、あえて個人のことを聞くのであれば、「その人のキャリアや現在の仕事内容」に焦点を当てるのがよいでしょう。個人といってもプライベートな話題ではなく、ビジネスでの関心事を土台にするのです。下記はその一例です。
「○○さんは、こちらの会社にお勤めになって長いのですか?」
「○○さんは、これまでどのようなキャリアを歩んでこられたのですか?」
「○○さんは、経営企画室の中でどのような役割やミッションをお持ちなのですか?」
お客様の会社規模が大きければ大きいほど、購買に対して複雑な人間関係と利害関係が発生します。こうした質問は、相手との関係構築につながるだけでなく、相手先企業を知る上でも役立ちますし、“関係各所マップ”が描けていれば、製品・サービス導入に向けたシナリオを描きやすくなり、効果てき面です。