変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、6月29日発売)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)で、IGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏だ。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていく時代。これからは、組織に依存するのではなく、一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルにならざるを得ない。同書から抜粋している本連載の書下ろし特別編をお届けする。

ふと気づいたらもう年末!「仕事ができる人」の年越し前の習慣とは?Photo: Adobe Stock

仕事が増えすぎると創造的な活動はできなくなる

 現代は変化の激しい時代と言われています。過去と比較するとインターネット革命によって情報の伝達スピードが高まり、スマホ革命によっていつでもどこでも仕事ができる環境が整いました。また、近年はコロナ禍の影響もあり、海外の人とウェブ会議で話をして意思決定をすることも増えてきました。

 このような環境下で無策に仕事を受け続けると、仕事は際限なく増えてしまいます。社内外からの依頼事項は溜まり続け、その対応に追われるばかりで、既存業務の改善や新たな商品の開発などの創造的な活動には、手も頭も回らなくなるでしょう。

物が増えるのと同じように、仕事は増え続ける

『パーキンソンの法則』にも記載されていますが、人間は与えられたリソースをすぐに消費してしまいます。業務が忙しいからとチームの人員数を増やしても、それまでと同じようにみんな残業を続けます。倉庫が小さいからと大きい倉庫に変えても、その倉庫はすぐにいっぱいになります。

 私生活でも、冷蔵庫が小さいからと大きい冷蔵庫に変えたにもかかわらず、すぐにいっぱいになった経験がみなさんにもあるのではないでしょうか。あるいは、スマホの容量が足りなくなったため、容量の大きいスマホに買い替えても、すぐに容量がいっぱいになった経験はないでしょうか。

 人間の性として、与えられたリソースは消費してしまいます。物であれば目に見えますが、仕事は目には見えないので、気づけばリソース不足に陥っていて、業務量がオーバーフローしてしまいがちです。

年末の大掃除に合わせて、仕事の断捨離をすべき

 私たち日本人には、年末に大掃除をするという習慣があります。大掃除を効果的に進めるポイントは、断捨離する基準を明確にすることです。例えば、「今年1年間着なかった服は捨てる」などです。

 仕事の断捨離のポイントも、明確な基準を設けることです。

 例えば、仕事に価格をつけて、無価値な仕事を断捨離するというのは一つの有効なやり方です。毎月3日間かけて作成しているのに活用されていないレポートは、廃止しても誰も困りません。情報共有だけで何も決まらない会議は、メールに代替できるでしょう。

 年末に仕事の断捨離をすることで、創造的な活動に費やすための時間を捻出することができます。新年を迎えても、去年の延長でだらだらと仕事をしていては、1年などあっという間に経ってしまいます。

アジャイル仕事術』では、仕事の断捨離をするための具体的な方法以外にも、超速で成果を出すための技術をたくさん紹介しています。

坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、2022年6月29日発売)が初の単著。