時代と共に酒造りも進化を続け、1981年に高級酒へ移行。05年には全ての酒を純米酒にすると同時に、蔵を仙台市の中心街から、仕込み水の水源である泉ヶ岳の麓へ移転。「最高品質の酒を納得いく方法で醸せるように。目指すのは米のうま味を生かし、滑らかで透明感ある美酒」と伊澤さん。新蔵は動線効率が良いコンパクトな設計で、丁寧な少量仕込みを徹底。蔵人は全員理系出身者で、学術的な視点と数値化、情報共有を重視する。だが理論だけではない。もろみタンクを密閉型から開放型に替え、もろみの表情や香りなど五感の判断も重んじる。「私たちのもろみの代名詞はitではなくshe。大切な彼女のように向き合っています」(伊澤さん)。進取の気風は伊達家譲り、御用蔵の誇り。地域の食文化の醸成を図り、世界に挑む。

新日本酒紀行「勝山」勝山 純米吟醸 献
●仙台伊澤家 勝山酒造・宮城県仙台市泉区福岡字二又25-1●代表銘柄:勝山 純米大吟醸 暁、勝山 純米大吟醸 伝、勝山 特別純米 縁●杜氏:後藤光昭●主要な米の品種:山田錦、ひとめぼれ