総予測2023#35なかにし・かつや/1960年生まれ。85年東京大学教養学部卒業、三菱商事入社。同社中東・中央アジア統括、新エネルギー・電力事業本部長などを経て2022年6月より現職。 Photo by Masato Kato

2023年3月期の純利益予想を1兆円超へと上方修正し、商社業界の王者としての実力を見せつける三菱商事。資源高と円安が業績のけん引役だ。稼いだ金を何に使い、23年の市況をどう見ているのか。特集『総予測2023』の本稿では、三菱商事の中西勝也社長に、脱炭素投資の進捗と、23年のドル円相場予想について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

「週刊ダイヤモンド」2022年12月24日・31日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

日本の景気が良いと感じる人は少ない
実力の向上よりも円安や市況が追い風

――今期の純利益予想を1兆円超に上方修正するなど、円安・資源高の影響で商社業界は絶好調です。

 ロシアのウクライナ侵攻で資源やエネルギー、食料などが逼迫し、サプライチェーンの脆弱化が急激に起こりました。歴史的なインフレや金融引き締めもあり、先行き不透明で目まぐるしく変化する激動の2022年でした。

 当社も含め好決算の企業もありますが、肌感覚として日本の景気がすごく良いと感じる人は少ないでしょう。われわれの実力が上がって業績が良くなったというよりも、円安や市況の影響が追い風になっているのが実態だと考えます。

――23年をどう見ていますか。

 インフレは米国でピークアウトの兆しが出ており、引き続き注目しています。不安要素は中国経済の減速とウクライナ問題の長期化。世界景気の減速懸念は意識しておく必要があります。

脱炭素を今後の重点投資戦略に掲げ、「200案件をリスト化した」と明かした中西社長。次ページでは、脱炭素投資の進捗状況と、中西社長が考える23年のドル円相場の予想をお届けする。