日本経済への遺言#7Photo by Daisuke Aikawa

2022年、日本をけん引してきた各界の大物が相次いで鬼籍に入った。「週刊ダイヤモンド」で過去に掲載した大物7人の生前のインタビューを基に、彼らが日本の政治・経済に遺したメッセージを紹介する。特集『日本経済への遺言』(全8回)の#7では、政治家で作家の石原慎太郎氏の2008年のインタビューを再掲する。当時、東京都知事として五輪誘致に名乗りを上げた石原氏は「五輪は商業的になった」と断じる一方、誘致を目指す理由を明かした。(ダイヤモンド編集部)

「週刊ダイヤモンド」2008年6月7日号のインタビューを基に再編集。肩書や数値などの情報は雑誌掲載時のもの

二度目の東京五輪誘致に名乗り
石原氏「国民の国家意識が希薄」

――東京で二度目のオリンピックをやろうと声を上げたのは、どのような思いからですか。

 今、世界の中での日本の存在感が希薄になっている。本当に残念なことだ。若い人たちの風潮も変わってきており、本気でスポーツをやる人がいなくなっている。国民の国家意識も希薄で、何事も他人事。

 いい意味でのナショナリズムが日本で復活したのは、最近では日韓共催のサッカーのワールドカップで日本がロシアを破ったときと、小泉(純一郎)総理が北朝鮮に行って拉致被害者を助け出したときぐらいではないか。

「五輪は商業的、魑魅魍魎が跋扈」。次ページでは、当時、東京都知事だった石原氏は当時の五輪をそう切って捨てる。その一方で、石原氏が東京五輪の誘致に乗り出した理由を明かす。石原節の矛先は政治家や役人だけでなく、五輪誘致の機運が高まらない国民のメンタリティにも向いた。