中小企業の社長は「共感指向」の傾向がある
さらに言えば逆に男性でも共感を求めたくなる場合はある。筆者の友人で金融機関に長年勤めて定年を迎えた後に、経営コンサルタントをやっている人間がいる。彼は主に中小企業の経営者にアドバイスをしているというのだが、失礼ながら彼にそれほど高い経営学の知識や専門性があるとは思えない。そこで一体何をしているのかを聞いてみた。するとこんな答えが返ってきた。
「いや、別にコンサルティングなどという大袈裟なことなんか何もやってないんだよ。社長はどうすれば良いかは分かっているので答えは出ているし、それを自分で決断するしかないことも理解している。でも中小企業の社長って案外孤独なんだよね。悩んでいることを部下には相談できないし、愚痴も聞いてほしい。だから僕が行って、話し相手になってあげているの。共感し、理解してあげて社長の背中を押してあげるのが僕の仕事」
確かに考えてみれば中小企業の社長という存在は専業主婦と同じで、何でも自分で考えて判断しなければならない事案の連続だろう。だから「共感を求めている」というのはとても納得する。
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互いに理解するためには…
しかしながら、夫婦間において「共感指向」と「解決指向」がいつまでたっても平行線のままということでは困ってしまう。スムーズなコミュニケーションが成り立たなくなってしまうからだ。
では、一体どうすればいいだろう。恐らくこれは夫婦の間だけで話し合っていても、解決しないと思う。筆者の経験上、最も効果があったのは、夫も妻も互いに複数の異性の友達を持つことだ。
もちろん、一対一でお付き合いするわけではない。趣味を楽しんだり、コミュニティを作ったりする場合に必ず男女混合にした方が良いということだ。実際、フェイスブックの投稿を見ていても定年後の集まりは相変わらず昔の仕事仲間で、それもおじさんばっかりが集まるというケースが見て取れる。
女性も専業主婦だった方は女性同士で遊びに行ったり、ランチをしたりというケースが多いようである。確かにその方が気楽なのだろう。それはよくわかるが、それを敢えて男女混合にするのだ。それによって、些細なことでも何か物事を決める時にマインドの違いというのが現れやすくなることでお互いの思考プロセスに理解が深まることになる。
コミュニケーションの基本は相手が主役だということである。そう考えると年齢も性も異なる様々な人達と付き合うことは大切だ。それによって、「共感」と「解決」のはざまで悩んだり、会話がうまくいかなかったりということは減り、定年後の夫婦関係も良好になっていくのではないだろうか。