ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
ハイチってどんな国?
ハイチ共和国は、カリブ海に浮かぶ島国で、エスパニョーラ島西部を領土としています。ドミニカ共和国と国境を接しています。
2010年1月マグニチュード7の地震が首都ポルトープランスを襲いました。この地震の死者は31万人以上、現代世界において最大規模の被害を受けました。
さらにこの年の10月にはハリケーンなどによって発生した大規模洪水で衛生状況が悪化し、コレラが流行。1万人以上の死者が出ました。
地震やハリケーンは自然災害ですが、このように被害が拡大したのは、人間社会に問題があったからです。首都が被災したので行政はマヒしてしまいました。しかしその前から政治は混乱しており、世界の最貧国になっていたからです。
エスパニョーラ島は、もともとスペインの植民地でした、1660年代からフランスが進出し、フランスの植民地になりました。フランスはここでプランテーションを経営しました。先住民は絶滅し、労働力としてアフリカから黒人が連れてこられました。
1804年フランス革命に乗じて、ハイチ革命がおこり、黒人国家が成立しました。しかし、その後も政治的には不安定で、世界の最貧国の一つになってしまいました。
なお、テニスで日本人初のグランドスラム優勝(シングルス)を果たした大坂なおみ選手の父親の祖国としても知られています。
ハイチ共和国
面積:2.8万km2 首都:ポルトープランス
人口:1119.8万 通貨:グルド
言語:フランス語(公用語)、ハイチ語(フランス語系クレオール語・公用語)
宗教:プロテスタント/メソジストセブンスデー・アドベンチスト/エホバの証人51.8%、カトリック35.4%
隣接:ドミニカ共和国
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)