本質的なカスハラ対策が急務

 任天堂が、カスハラがあった場合は修理などを拒絶する方針を打ち出した意義は非常に大きい。任天堂のように、カスハラ対策に本腰を入れる企業が増えることを願いたい。

 というのもカスハラ対策の本質は、顧客から不当要求やカスハラがあった場合に、その要求や行為を「断ってよい」という旨を社内外に明確に示すことに他ならないからだ。任天堂はまさに、本質に着手したわけだ。

 筆者はこれまで、不当要求やカスハラ対応について相談を受けた際などに、企業担当者が「断っていいんですね」と驚き安堵(あんど)するのをしばしば見聞きしている。企業として「できないこと」はお断りするのは、普通に考えれば自明の理であるが、前述したような間違ったクレーム対応が長年染みついていて、断れない現場が多いことを象徴している。

 不当要求やカスハラに発展する場合、刑法その他の犯罪行為が行われるケースも多い。犯罪行為が行われるならば、コンプライアンスの観点からは当然、警察対応や弁護士対応を行うべきだ。そのレベルに至らないようなケースでも、企業としてできないことは断ればよい。

 なお、厚労省のマニュアルは、「社会通念上不相当か」を基準として示しているが、現場レベルで見れば、社会通念上相当かどうかよりも、会社(組織)の方針として対応できるか・できないかが重要な基準となる。

 筆者が強く勧めたいのは、企業は「不当要求対応はロスである」と明確に断言することだ。実際、現場では不当要求対応でもろもろのロスが生じている。そのように会社方針を明確化することにより、ロス削減の目的の下、経営幹部主導でカスハラ対応を全社で徹底できる。