話を戻すが、COTY日本カー・オブ・ザ・イヤーの方は、これまで殿堂とRJCが先行発表するため違うクルマを選ぶケースが多かったが、今回はサクラ/ekクロスEVが399点で、次点のホンダ「シビックe:HEV」/「シビックタイプR」の320点、3位のトヨタ「クラウン」の236点を引き離して受賞し、順当に三冠を達成した。

 意外だったのはトヨタのクラウンへの票が伸び悩んだことだ。例年ベスト10にはトヨタ車が複数選ばれるのだが、今年はクラウンだけだった上に、シビックにも後塵(こうじん)を拝した結果となった。

 COTYは、かつてトヨタとホンダが独占状態だった時期があり、軽自動車を評価しないといわれたこともあったが、サクラ/ekクロスEVがその風潮を打破した。さらに、今回インポート賞にヒョンデ「IONIQ 5」という韓国のEVが初めて選ばれたが、それだけBEVへの関心の高まりを表している。

 学究者主体の殿堂、雑誌・評論家中心のCOTY、COTY批判から創設されたRJCと、それぞれのカーオブザイヤーの性格は異なり、選考委員の感性も評価の違いに表れる。また、選ばれる側の自動車メーカー・輸入車インポーターもカーオブザイヤーに対する熱量はさまざまだ。

「カーオブザイヤーを受賞しても市場で売れるとは限らない」と冷めた声もここ数年、聞こえていた。

 そうした中で、カルロス・ゴーン元会長時代に日本国内での新車投入がおろそかになり、国内5位に転落した経緯を持つ日産が、昨年の「ノート」/「ノートオーラ」に続く三冠を獲得したことは感慨深い。ついに「ゴーンの呪縛」から解き放たれた、ということか。