初詣にオススメ「究極の御神木めぐり」、都心から日帰り可能なプランとは「明神の楠」

神社の真正面に立ちはだかる守護神

 3柱目が、神社と道路を挟んだ向かいに立つ「明神の楠」。バス停に隣接し、人々が往来する場所にありながら、物凄い存在感を放っています。

「この木好き!根元の凄いボリューミーな感じと、きゅっとくびれた感じが」(まり氏)

 案内板には、「根周り15.6メートル、推定樹齢800年以上」とあります。一般的に木のサイズは「(地上1.3メートルの)幹周り」で表示されるのですが、あえて根回りなのは、木の特徴を強調するものでしょう。もりもりと塚状に盛り上がった根元周りは圧巻です。

「明神の楠」の名は、五所神社がかつて五所明神社と呼ばれていたことによるもの。神社の正面にそびえるこの木は、御祭神が宿る特別な存在と見なされたのかもしれません。

 当社は先の城願寺と同じく、土肥氏の祈願所だった神社。治承4年(1180)源頼朝が挙兵したときは、社前で盛大な戦勝祈願の護摩が焚かれたといいます。興味深いのは、この木が天然記念物ではなく、史跡指定であること。歴史の生き証人として仰ぎ見られ、崇められたことを物語っているようです。

 幹の南西側に回ってみると、何とウロの開口部に赤い鳥居が建てられ、中に石像が祀られていました。

「これ何という神様ですか?」(みきえ氏)

「青面金剛(しょうめんこんごう)(庚申(こうしん))さんですね」(きりん氏)

「そう、体内の悪い虫(病鬼)を除く民間信仰の仏神です」(ホンダ)

 よくよく見ていると、この木は神様を内蔵した生ける守護神のように思えてきます。おそらく、五所神社にお参りする人は、まずはこの御神木を参拝して厄払い(祓い)をしたのでしょう。そして今もその信仰は保たれているようです。

「皆さんにとても大切にされている感じが伝わってきますね」(きりん氏)

 さて、しみじみと味わい深い巨樹を後にしたわれわれは、次に熱海のパワースポットへ向かい、あの御神木に相まみえるのです。