写真:日銀,日本銀行本店Photo:PIXTA

2022年12月20日に日銀は大規模金融緩和政策の一部修正にかじを切った。だが、物価が上がっても金融緩和をやめるべきではないと筆者は考える。今回はその理由を解説したい。(名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰)

大規模金融緩和に対する
市場関係者の主張

 2013年に日銀が2%の物価上昇を目指して大胆な金融緩和政策を始めたが、目標に届かないまま2021年までが過ぎた。ところが2022年の4月には消費者物価上昇率は2%を超え、その後も勢いは続いている。

 この動きを見て、大胆な金融政策の失敗、または緩和政策を解除すべきだという議論があった。例えば、「大機小機 金融政策正常化[大胆な金融緩和政策をやめて金利を引き上げるという意味]、今が好機」(日本経済新聞、2022年5月10日)などだ。

 このような主張は市場関係者からなされることが多いが、その中でも、「正常化」すべきではないという意見もある(重見吉徳「【マーケットを語らず Vol.79】日銀は金融緩和を止めるべきか?」フィディリティ投信、2022年10月12日)。

 ここにきて、22年12月20日に日銀は大規模金融緩和策を一部修正し、長期金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げることを決めたが、物価が上がっても金融緩和をやめるべきではないと筆者は考える。その理由を述べたい。