その一方で、韓国は北朝鮮とは対話によって核・ミサイルの問題を解決することに専念し、北朝鮮の挑発に対して対抗措置を取ることをちゅうちょしてきた。

 特に、文在寅政権は北朝鮮の非核化の意思を西側主要国に説いて回り、北朝鮮への制裁緩和を促すほど、北朝鮮擁護の姿勢を明確にした。このため北朝鮮は、報復を恐れることなく核ミサイル開発を進め、朝鮮半島の脅威を高めてきた。

 また、昨年末には5機のドローンを韓国に進入させ、そのうちの1機は大統領府の5km先まで近づいた。北朝鮮を甘やかす韓国政府の姿勢が安全保障上の危機を助長してきたことを、韓国国民もやっと気付き始めたようである。

 北朝鮮の敵対行為に対し、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は本腰を入れ対抗措置を取ろうとしている。しかし、それが北朝鮮の一層の敵対行動を生むことは必定であり、2023年には朝鮮半島は新冷戦時代を迎えることになろう。

 そうした事態に直面し、尹錫悦大統領は日韓関係の修復を急ごうとしている。そのための第一の関門が徴用工問題の解決であり、それを前提とした日韓首脳の相互訪問の再開である。日韓首脳は昨年、国際会議の場で9月(日本側は懇談と解釈)と11月に会談した。

 尹錫悦大統領としては、今年の5月にはG7首脳会議で訪日するにしても、徴用工問題は単独訪日で解決し、関係の正常化につなげたいだろう。そしてG7では日米韓首脳会談で結束を強化したいのではないか。G7より前であれば、2月~4月の訪問である。首脳会談の調整、元徴用工説得を考えると1月中に解決案を示し準備にかかる必要があろう。

 2023年は、日韓関係、朝鮮半島情勢が大きく動く年になりそうである。