尹錫悦大統領が
徴用工問題の解決を決意か

 1月12日、韓国外交部は徴用工問題に関する公開討論会を開催する。

 韓国政府は、同討論会を通じて、事実上最後の国内意見の集約手続きを経た後、解決策を発表するといわれている。公開討論会は民意の殿堂とされる国会で各界各層から広く意見を聞く場となり、尹錫悦政権にとって元徴用工の反発への防波堤となるだろう。

 今回は日韓間の友好増進に多くの役割を果たしてきた韓日議員連盟と共同で主催するようであるが、そこには日韓関係改善の最後のハードルを乗り越える尹錫悦政権の意図を反映しているのだろう。

 韓国政府が検討している解決策の骨子は、行政安全部傘下の公益法人である財団が主体となって韓国企業などから受け取った寄付金で被害者に賠償金代わりに補償する方式との説が有力である。

 元徴用工側は「この案には日本政府と日本の被告企業(発言のママ)の謝罪や賠償などの内容が全く含まれていない」と反発している。しかし、尹錫悦政権としては、すべての元徴用工を満足させる案はあり得ないと覚悟を決めたようである。

 韓国政府の外交当局者は「政府案を発表後、政府がどのように努力してきたのか、『十分ではないかもしれないが、この程度の解決法が出た』ということを、原告と訴訟代理人一人ひとりに説明して理解と同意を求めたい」と述べた。

 日韓慰安婦合意の後の補償金の配布でも6割を超える元慰安婦が受け取ったが、支援団体は反対した。支援団体にとって合意は政治的闘争の終焉を意味する。元慰安婦は早く問題の決着を図り、平穏な日々を取り戻したいのではないか。

 元徴用工やその代弁者の代表を通じて全体を説得しようとしても賛同を得ることは困難であるため、元徴用工を個別に説得して理解を得る方針に転換したということと解釈できるのではないか。

 尹錫悦政権の狙いは、徴用工問題を片付け、尹錫悦大統領が日本を訪問して、日韓関係を正常化し、北朝鮮への対応で日米韓の連携を強化することである。こうした方針について、韓国国民も一時は批判しても、国益の観点から最終的には受け入れざるを得ないだろう。中央日報は社説で、「韓日、徴用工問題の解決で北朝鮮の核・北東アジアの危機に対処を」と論じている。