あと10年たてば
若者は「希少資源」になる
一つ目は、「国内の優秀な若者は今後急速に希少資源になっていく」ということです。
日本の給与制度は年功序列が崩壊した後、現在でも多くの企業で「若いうちは安い賃金で働かせ、50代に給与が最大水準になる」ように設計されています。ちょうど今、2023年時点では、この給与が最大水準になる年代である45歳から54歳のレンジに団塊ジュニア世代が入り、文字通り日本経済のけん引役となっています。
ところがあと10年もすれば、この構造が壊れます。団塊ジュニア世代が塊として55歳以上の「働かないおじさんと同じ年代」へと移行するとともに、それよりも若い年代の人口が大幅に減ります。どれくらい減るかというと、10年後には日本人全体で45歳未満の働き盛りの人口は今よりも15%減ります。
目の前の経済状況では、若者を安くこき使うことができるのですが、近い将来その構造が確実に崩れます。自分たちが希少資源であることがはっきりすると、優秀な若者は条件の良い企業にしか目を向けなくなるわけで、ファーストリテイリングは国内の企業の中でいち早くその地位を固めたいと考えているのではないでしょうか。