金融庁が仕組み債の販売に関して地方銀行の検査に乗り出したという。しかし、本当に検査すべきは金融庁自身なのではないか。筆者がそんな問題意識を持つ理由をお伝えしたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
金融庁が仕組み債で地銀を検査
いまさら「点検」とはのんきな
もう仕組み債を売らせるのはやめにしないか。筆者の気持ちを一言で要約するとこうなる。「売らせる」とは英文法などで言う目的語が必要な他動詞の形だが、誰が誰に売らせることなのかというと、銀行が証券子会社に、金融機関の経営者が社員に、社員間では上司が部下に、だ。
そして何よりも金融庁が金融機関に対して、仕組み債を個人に売ることをなぜまだ認めているのかが最大の問題だ。
過去に筆者は何度も主張しているが、改まらないので、何度でも言わなければならない。「金融庁は、個人向けの仕組み債販売を即刻禁止するべきだ」。
金融庁は、仕組み債販売で地銀99行を対象に点検を行うという。まだぐずぐず点検するらしい。「日本経済新聞」(電子版、1月12日)の記事の冒頭の段落を引用しよう。