中国「戦狼外交」の再開
ここで米国の大学で教壇に立つ、中国出身の友人のSNSへの書き込みをご紹介したい。「やっと米国に戻った。今年の上海の冬はひどいものだった。多くの家庭が愛する家族を新型コロナで失った。わたしもまだ74歳のおじを亡くし、家族はまだそのことに打ちひしがれている。高校時代の恩師も亡くなった。仲良しの友人が2人、両親を失った。他にも病院で危篤状態の両親を看護している友人たちがいる。わたしにとってこれらの記憶はいまだに新しく、今キャンパスを見渡してもマスクをしているのはわたしだけ」
これに似た体験談が、ネットにはゴロゴロ流れている。亡くなったのは本当に「たった」6万人なのか?いや、それが6万人であろうとも、60万人であろうとも、多くの人たちが失った家族や知人を想う回数はそれっぽっちで済まないはずだ。
だが、中国政府は国際往来の再開とともに、すぐさま「戦狼外交」を再開した。まるでそれが、中国のあるべき姿だ、世界はそれを黙って受け入れるべきだ、というように。
きっぱりとした態度を取った韓国よりずっと温和な(弱腰、ともいえる)日本の水際対策をビザ規制のターゲットにしたのは、岸田首相が欧米歴訪をした時期と一致する。「中国の膨張」を視野に入れたその外交姿勢にかみ付いてみせたというのが、その本意なのだろう。中国の「戦狼外交」が戻ってきた。