「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験から、本当に子どもの体と脳によい食事がわかります。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。

【小児科医が教える】子どもの「頭がよくなる」すごい食べ物Photo: Adobe Stock

小児科医おすすめの「頭がよくなる食材」とは?

 おすすめはかつお節です。

 かつお節は、かつおを煮てから干したもので、たんぱく源としても、ビタミン・ミネラル源としても優れた食材です。魚の状態では苦手でも、かつお節をけずったけずり節の状態であれば食べられる子どもも多いです。ぜひもっと多用していただきたい食材です。

 かつお節は出汁(だし)のうま味成分の1つである、イノシン酸を含みます。料理を作る際に、出汁をしっかり効かせると、塩分が少なくても「おいしい!」と感じやすくなります。減塩にもつながりますよ。

 幼少時から出汁の味に触れておくことは、とても重要です。味覚の発達につながるのはもちろん、味覚は脳と直結しているので、脳の発達にもつながります[*36]。この場合の脳の発達とは、脳の神経の発達、つまり、神経網が密に枝を伸ばしてつながることで、脳機能が高まることを指します。

どうして頭がよくなるの?

 かつおにはEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富に含まれます。EPAは脳の神経を保護して脳機能を高める成分です[*37]。判断力、記憶力、情緒、気分を高めるだけでなく、皮膚の乾燥を防いだり、炎症を抑えたりする作用や、血管を丈夫にする作用もあります[*38,39]。

 量は1カップに半分の量をおすすめしています。おかずやスープにトッピングしたり、主食のごはんにかけたりして、普段使いとして取り入れてみてください。

 このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。

(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・編集したものです)

*36 Kapsimali M, et al. Developing a sense of taste. Semin Cell Dev Biol. 2013 Mar; 24(3):200-209.
*37 DiNicolantonio JJ, et al. The Importance of Marine Omega-3s for Brain Development and the Prevention and Treatment of Behavior, Mood, and Other Brain Disorders. Nutrients. 2020; 12(8):2333.
*38 https://www.health.harvard.edu/blog/omega-3-fatty-acids-for-mood-disorders-2018080314414(2022年11月20日)
*39 Thomsen BJ, et al. The Potential Uses of Omega-3 Fatty Acids in Dermatology: A Review. J Cutan Med Surg. 2020 Sep/Oct; 24(5):481-494.