「71歳の食費1万円生活」記事にも悲鳴

 もうひとつ、似た現象が見られたのが、婦人公論の記事だ。こちらは「年金月5万円71歳の紫苑 大ピンチを前にやむなく69歳で始めた『食費月1万円』生活の現在。値上がりラッシュで『当たり前』が失われた今こそ、きっと変わるチャンス」(23年1月27日)という記事で、71歳のブロガー女性が節約術を紹介する連載の一つである。

 物価の上昇が続き、食品の値段は同じでも中身が減っている場合があることに冒頭で触れつつ、以前と同じように月に1万円程度の食費でシングル生活を営んでいる様子がつづられている。

 この記事に対しては、過剰な節約生活を「美徳にしないでほしい」という批判が見られる。

 節約術は昔から続く雑誌の人気コンテンツであるし、数年前まで芸能人が月1万円でやりくりする人気のバラエティー番組があった。

 しかしこの記事の場合、ブロガーの女性は企画で食費1万円に挑戦しているわけではないし、タイトルにもあるように「大ピンチを前にやむなく」食費1万円生活を始めたとある。結果的に節約生活を始めてみたら、それなりに豊かに楽しく生活できているという趣旨ではあるものの、批判の声があるのは、やはりそれだけ現在の状況に不安を感じている人が多いからだろう。

 節約というのは、言ってみれば「自助」である。経済を立て直せず、さらなる増税をもくろんでいそうな政治に不満をぶつけず、「自助」で乗り切ろう。乗り切れるはずだ――。記事制作者にそのような意図があるかどうかはわからないが、思わずそんなメッセージを感じ取ってしまう人がいるということだろう。