L社は、買い

 売買高が急増し、長い陽線をたて、上値抵抗線を超えたので、ここから上昇の加速が期待できます。売買高の上昇をともなった急騰は、多くの人が買っていることを示しているため、買いシグナルになります。

 株価はそこから、以下のチャートになりました。

L社のその後の株価チャートL社のその後の株価チャート。『株トレ』より抜粋。

 このように、株で稼げる人はトレンドを利用するので、ボックス相場を上抜けた時に順張りで買います。もちろん、株価が上昇せずにボックス内に戻ることもありますが、その場合はすぐに損切りします。

 小さな損を何度出しても、トレンドに乗れた時には大きく勝てるので、利益を出せるわけです。損小利大のトレードです。

株で勝てない人は「損大利小」

 実は多くの個人投資家はこの逆のトレード、つまりボックス内で逆張りを狙っています。ボックス相場の下限で買って、上限で売ろうとします。その結果、損切りできずに大きな含み損を抱えたり、利確が早すぎて大きな上昇トレンドを逃したりしてしまいます。

 逆張りの思考になっている人は「ボックス内に再び戻ってくるはず」という思い込みで、損切りせずに放置したり、ナンピン買いをして傷を広げてしまいます。

 また、ボックスの下限で拾えた銘柄があっても、ボックスの上限が近づくと「そろそろ反落しそうだから売らないと……」と思い込んでしまいます。ボックスを上抜ければトレンドが生まれ、大きな利益を得られるのですが、その美味しいところの手前で売ってしまうため、せっかくの利益が小さくなってしまいす。

 つまり、トータルで見ると「損大利小」のトレードをしているのです。

『孫子の兵法』には、小競り合いでは負けながら敵を狭い道に誘い込んで一気に叩く、という戦い方が紹介されています。まずは小部隊を出して、負けたら引き返します。何度か同じことをしているうちに敵が深追いしてきたところで、本隊を出動して一気に叩くという戦い方です。

 株のトレードもこれに似ています。素晴らしい軍師はトータルで勝ちます。小さな負けが続いても最後に大きく勝ちます。

 投資家は軍師ではありませんから、小さく負けても命を失うことはありません。迷わず何度でも損切りしてください。最後に勝つ軍師のような投資家は、1万円の損切りを何度したとしても、トレンドに乗ったときに10万円勝てればいい、と考えることができるのです。