実際にどういった仕事なのか。気象データアナリストとして活動している方に取材をした。Weather Data Science合同会社の加藤芳樹さん、加藤史葉(ふみよ)さん夫妻だ。
テレビ電波からコインランドリーまで
気象データの領域は多岐にわたる
「気象データアナリストとは、気象の探究だけでなく、気象の影響を受ける反応とその結果についてデータから探究し、課題を解決へと導く新しい技術職です。気象の影響を受けるのは、日常生活の細かな意思決定から、企業の売り上げ変動、防災や気候変動に関する国家政策まで、その領域は多岐にわたっています」(加藤芳樹さん、以下同)
芳樹さんは、ウェザーニュースの天気予報センターでBtoB向け(航空業界、船舶業界)の気象予報業務に従事していた。気象予報士としての実務経験は十分に積んできたが、さらに体系的なデータ解析スキルを身に付けるため、2018年データサイエンティスト育成講座を受講し、独立を果たす。
史葉さんもウェザーニュースに6年勤務した後、エネルギー関連のベンチャー企業に気象予報士として入社。気象データを活用した太陽光発電予測システムの開発作業に携わるという経歴を持っている。
加藤さん夫妻の気象データ解析は、現在さまざまな業界で活用されている。その一つが放送業界だ。
「テレビ電波の受信は、実は気象条件により大きく変動することをご存じでしょうか。フェージングと呼び、業界では長らく課題になっていました。これを気象データを用いて予測できれば、事前に技術的に対処できることがわかり、3年前からNHKと共同でデータ解析に取り組んでいます」
さらには、天候に左右されやすいコインランドリーに対して、来客数を予測し、その結果を踏まえて販売促進プランを決めるシステムを開発しているところだ。