韓国国民の感情変化を
分析したコラムも

 朝鮮日報はさらに、金昌均(キム・チャンギュン)論説主幹の署名入りで「井戸の中で横紙破りの反日…国の威信を害するだけだ」と題するコラムも掲載している。

 このコラムでは、元徴用工問題の解決は常識的かつ現実的な解決法だが、国民世論が騒然となるだろうと予想した。しかし、そうはならなかったとして次のように論評している。

 幸いなのは、韓国国民の反応が予想よりも淡々としている点だ。ある大学教授は「586(1960年代に生まれて80年代に大学に通った現在の50代)の扇動に、若い世代が呼応していない」と、その理由を説明した。

 今の韓国の20代、30代は、日本に対して被害者意識も劣等感もないという。競い合うに値する競争者、と見なしている。文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の「ノー・ジャパン」が力を得たのは、「安倍効果」が作用したからだいう。日本が、優越的な立場を利用して輸出規制という不当な嫌がらせをしているという感覚から、若い層が腹を立てたのだ。

 そして、同コラムは次のような内容で締めくくっている。

 野党首脳部を占める586学生運動出身者らは、無条件に日本を非難することが国の品格を高めることであるかのように扇動する。身内で酔いしれて、井戸の外では嘲笑を買うばかりだ。国際規範を外れた反日ゴリ押し外交は、国の威信を害するだけだ。

朝鮮日報のコラムの日韓関係は
筆者が50年前に期待していたもの

 筆者は、1972年に外務省に入り、韓国語の学習を命じられた。80年代頃までは、日韓の経済格差は大きく、日本が韓国を併合していた当時に関連し、要求の多かった韓国であるが、韓国が経済的に豊かになれば、対等な国になり、こうした要求はなくなるだろうと期待していた。

 しかし、そのようにはならなかった。

 韓国では朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の長期政権時代や光州事件の際、多くの学生が政府の弾圧を受けた。この人々が、586世代を形成し、革新政権を樹立するようになり、政権を取った後も反日の中核となった。彼らは、韓国が経済的に日本と遜色がない状態となった後も、日韓の歴史をネタに、日本に対して一方的に要求を繰り返す国となった。その極致が文在寅政権である。

 だが、586世代以降の若者は、こうした政治的背景のない人々であり、より現実的に未来に向けた日韓関係を志向している。そのことが、このコラムの趣旨である。