1審判決を「ポピュリズム」と
批判した朝鮮日報

 朝鮮日報は3日付で、「日本から盗んだ盗品を返さなかった10年、被害を受けたのは韓国だ」と題する社説を掲載している。

 社説の主張のポイントは次の通りである。

 韓国の寺が主張する通り、仏像は600年余り前に倭寇によって略奪された可能性もある。2審も「略奪があった状況と蓋然性がある」とした。しかし、推定に過ぎず、立証されていない。

 実際この問題は、法律ではなく常識で誰でも判断できる案件だ。ところが、韓国の寺が「仏像が日本に行った経緯が明らかになるまで返すな」という仮処分を申し立て、判事がそれを受け入れる事態となった。さらに17年、1審は600年余り前に略奪があったという状況と蓋然性だけに基づき、日本の寺の所有権を否定した。

 現在、高麗時代の仏画の多くは外国にある。相当数は米国の所蔵だ。窃盗犯が米国からそれらの仏画を盗んできたとしても、「韓国のものだ」という判決を下す判事はいるだろうか。それは法理ではなくポピュリズムによる判決と言わざるを得ない。

 世界の文化界で韓国は盗品すら返さない国と評された。傷を負って被害を受けたのは韓国だ。

 この社説は、日本に対してだけ「国民感情という特別な判断基準」で判決を下していることが、国際社会から韓国の信用を失墜させているという事実を率直に指摘している。

 このような韓国の対日国民感情の異様さを指摘する社説を一流紙が堂々と掲載する事例を、筆者は寡聞にして知らない。韓国国内が反日で盛り上がっている時には、財政基盤が強固で政府の揺さぶりに対しても揺るぎない一流紙と言えども、国民感情の行き過ぎを批判することはできないだろう。朝鮮日報がこうした社説を掲載したのは、国民感情の変化を敏感に読み取っているのであろう。