このような状況の中、国際線回復に明るいニュースとして、1月末、岸田首相主導の下、5月のゴールデンウイーク明けをめどに、新型コロナウイルス感染症を、2類から5類に引き下げる方針が示された。この引き下げにより、水際対策も完全撤廃されることが予想され、国際間の移動への需要は飛躍的に高まると考えられる。

 ただし、コロナ禍で縮小を余儀なくされた、国際線機材や航空・空港人材の準備が間に合わず、流動が回復するには一定の時間がかかると考えられる。5月に撤廃されるとしても、本格的な回復は、夏以降になるであろう。多くの便が増便されれば、国際線運賃もコロナ前の水準に向かって近づいていき、それがさらなる流動を増やすという好循環が期待される。世界では、欧米を中心にこの好循環に入っており、後れを取った日本の猛追に期待したい。

 また、国際線旅客数の回復にはもう少し時間がかかる一方で、便数が少ないことによる国際線の単価の高止まりや、本邦(国内)大手航空会社の貨物による収入がコロナ前の水準を大幅に上回っていることなどから、22年度決算見通しでは、貨物も含めた収支はコロナ前水準に戻る見込みも示されている。これらの状況を総合的に判断して、23年度に向けた国の支援政策を見ていくことにする。

来年度以降も継続方針が示された
航空会社・空港会社等への政府支援

 23年度国土交通省航空局資料および予算では、航空・空港関連各社におけるコスト削減等の収支改善の取組を前提とし、国と関係者が連携して強力に支援することとし、23年度においても引き続き、「航空会社・空港会社等への支援」施策が継続される方針が示されている。<https://www.mlit.go.jp/page/content/001580226.pdf

 具体的には、以下の2つの理由により、支援を行うとしている。

(1)航空需要は、水際対策の緩和等により徐々に戻りつつあるものの、国際線をはじめとしていまだ回復途上にあり、航空・空港関連企業は依然として厳しい経営状況にあること

(2)国内外の交流や国民生活、経済活動を支える航空ネットワークを維持、航空・空港関連企業の経営基盤強化を図る必要があること

 航空会社等に対する支援として金額的に大きなものとしては、22年度に引き続き、空港使用料および航空機燃料税の軽減を実施するとし、航空機燃料税の軽減後の額は、22年度と同様の航空機燃料1キロリットル当たり1万3000円とする(軽減規模190億円)こととなった(加えて、国内線の空港使用料について310億円規模の軽減措置が実施されることとなった。3割の軽減に相当する)。

 また、今回の決定の特徴としては、これまでのような毎年の方針策定とは異なり、24年度以降の軽減の方針も同時に決められたことがある。以下では、これまでを簡単に振り返るとともに、23年度および24年度以降の軽減方針の背景・評価をし、今後の航空会社、空港会社への支援の在り方を考えていくことにしたい。