旅行子会社の好調で
近鉄などが大幅増益

 次に大手私鉄を見てみよう。第3四半期の経常利益は近鉄グループホールディングス(GHD)の約312億円が最大で、阪急阪神ホールディングス(HD)が約271億円、東武鉄道の約211億円と続いた。

 近鉄GHDは前年同期比202%、阪急阪神HDは同150%、東武鉄道は同137%と、コロナ前を上回る経常利益を記録しているが、これは近畿日本ツーリスト、阪急阪神ビジネストラベル、東武トップツアーズという旅行子会社による全国旅行支援を活用したツアーの販売が好調だったためだ。

 また近鉄GHDは昨年7月に近鉄エクスプレスを連結子会社化したことで国際物流セグメントを新設し、第3四半期は運輸、不動産、ホテル・レジャー各セグメントをしのぐ約129億円の営業利益をたたき出した。この他、西日本鉄道も物流セグメントの営業利益がコロナ前の5倍近くとなり、経常利益は同155%となった。

 近鉄GHD、阪急阪神HD、東武に続く約132億円の経常黒字となった東急は、前記3社と異なり旅行事業を持たないため、ホテル・リゾートセグメントの営業利益がコロナ前の12%と足を引っ張り、経常利益も64%にとどまった。

 その他の各社は、運輸セグメントがコロナ前の50%程度まで回復したこともあり、おおむねコロナ前の70~80%の水準まで持ち直した。ただ、その中で空港輸送を担う京急、京成、南海の運輸セグメント営業利益は20~30%程度にとどまっており、不動産など他セグメントが補う形で一定の利益は確保しているものの、我慢の時はしばらく続きそうだ。