【最新の認知症治療を実践する脳のカリスマが30年超の長寿研究から導いた幸せな生き方】かつて100歳ブームを巻き起こした『100歳までボケない101の方法 脳とこころのアンチエイジング』の著者で医学博士・白澤卓二が、人生100年時代が現実になった今をよく生きる方法をまとめた『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』が完成。現在の脳のパフォーマンスを上げて、将来寝たきりや認知症にならずに長寿を目指し、人間の限界寿命とされる120歳まで生きる方法を提示します。

太りすぎが生活習慣病だけではなく、認知症リスクも上げる理由Photo: Adobe Stock

太りすぎが認知症に結びつく流れ

 中年期の認知症の危険因子として挙げられる高血圧は、同じく危険因子のひとつである肥満によって起きることも多いので、ここではおもに肥満について考えてみましょう。

 高血圧も肥満も、放っておくとメタボリックシンドロームにつながる危険があります。内臓肥満に高血圧・高血糖・高脂血症が組み合わさることにより、メタボリックシンドロームになると、その先には動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞が待ち受けています。中年期から太らないように気をつけておけば、認知症だけでなく、そのほかの病気の予防にもなります。

体重を減らすのはなかなかに難しい

 肥満については少しふっくらしている程度なら問題ありませんが、自分の体が重すぎてひざが痛んだり、足が痛んだりするのは、認知症予防の観点から大問題となります。腰に負担がかかる姿勢がくせになっていれば、それも大問題です。

 肥満が過ぎると、体の重みを受け止めたひざの軟骨がすり減ってしまい、歩くたびに関節が痛むようになります。痛みをこらえて歩いていると、やがて骨が変形して痛みが増し、ますます歩けなくなるという悪循環に陥ります。この段階で一念発起して減量できればギリギリセーフなのですが、体重を減らすのはなかなかに難しい。

 減量がうまくいかずに長い時間が経過すると、ひざが痛まないようにと不自然な格好で座ったり、ひざをかばって歩いたりするようになるので、そのうち腰も悪くなります。

 太りすぎが原因ですでに腰を悪くしている人もいるでしょう。

 腰を悪くすると外出するのがおっくうになって、認知機能に悪影響を及ぼすことになりかねません。

本原稿は、白澤卓二著『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』からの抜粋です。この本では、科学的に脳を若返らせ、寿命を延ばすことを目指す方法を紹介しています。(次回へ続く)

監修 お茶の水健康長寿クリニック院長・医学博士・医師 白澤卓二
1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。現在、お茶の水健康長寿クリニック院長。