自分の考えていることが、うまく人に伝えられない」「人とコミュニケーションをとることに、苦手意識がある」と悩む方は多くいます。しかし、その悩みこそ「相手とよい関係を築き、人を動かす」ための第1歩に変えられるのです。『超完璧な伝え方』の著者、4代目バチェラー・黄皓氏による「誰とでもスマートに人間関係を築く」ための簡単なテクニックを紹介します。

【バチェラー黄皓が教える】「人間関係が避けれない人」に対して「やってはいけない」1つのことPhoto: Adobe Stock

同じ言葉でも人によって反応が異なる不安

私がコミュニケーションにこだわるのは、中国人として生まれながら日本の小学校に一時期通っていたことがきっかけです。

小学生のとき、私は中国と日本の間で何度も転校をくり返しました。

とくに、はじめて日本の小学校に転校したときは、日本に来たばかりの私が発する一言一言で、相手の表情がどう変化するのかが全くわかりませんでした。

何気なく喋っただけなのに「うん?」と怪訝そうな顔をされる。
そのたびに、すごく不安な気持ちになるのです。

笑ってくれたときは「あ、今のコミュニケーションは喜んでくれるんだ」とホッとします。

でも、同じ言葉を別の人に投げたら「え?」と変な目で見られることもある。

この経験がすごく怖かったんです。

みなさんが普段とくに意識せずに行うことができる日本人同士のコミュニケーションに対して、別の国から来た私は「気軽じゃないもの」として取り組み続けました。

この経験によって、相手の表情を読むことに敏感になり、自分の真意が伝わり切っているかどうかにも繊細になったのです。

「伝わらない人」との関係をあきらめない

「人によって受け取り方が違う」。

それを実感する一番の思い出は、転校したときの自己紹介です。

小学生にとって、人前で自分を主張する機会など滅多にありません。

しかし、自己紹介だけは逃れられないのです。

「はじめまして。黄皓です」と、ただ自分の名前を言うだけなのに、人生で一番怖い瞬間でした。

クスクス笑う人もいれば、無視して本を読む人もいます。

「へーっ、黄くんって言うんだ」とニコニコしながら見てくれる人もいれば、教室の後ろから睨みつけてくる人もいました。

教壇の上から見た40人バラバラの表情は、今でも覚えています。

「自分は一つの言葉しか発信していないのに、受け取り方にこんなに差があるんだ」と感じた私の原体験です。

そして、受け取り方が人によって違うのであれば、それぞれの人に投げる言葉や伝え方を変えるべきだと感じました。

私の話を聞いてくれる人と、私に対立してくる人に投げる言葉は変えたほうがいいと思ったのです。

もちろん相手の反発を無視して「自分は自分だから」とワンパターンで喋ることも可能です。
しかし、それは自分も損をしてしまいます。

伝え方を変えない限り、対立する人とはずっとコミュニケーションができないままになってしまうのです。

「自分を出す」ためには「自分を受け入れない人との関係を切り捨てる」覚悟が伴います。

今後もコミュニケーションを取ることが避けられないクラスメイトのなかで、最初から「伝わらない人」を切り捨ててしまっていいのか。

それはもったいないと、私は思ったのです。