自分の考えていることが、うまく人に伝えられない」「人とコミュニケーションをとることに、苦手意識がある」と悩む方は多くいます。しかし、その悩みこそ「相手とよい関係を築き、人を動かす」ための第1歩に変えられるのです。『超完璧な伝え方』の著者、4代目バチェラー・黄皓氏による「誰とでもスマートに人間関係を築く」ための簡単なテクニックを紹介します。

「八方美人をバカにする人」が見落としている「人間関係のうまい」築き方Photo: Adobe Stock

「八方美人」は褒め言葉

超完璧な伝え方」が目指すのは「八方美人」になることです。

私は昔から、人と接することが怖いと感じていました。
その恐怖から逃れるために「自分と対峙している人が、どうすれば心地よい状態になれるか」を考え抜いてきたのです。

そして「みんなに好かれることでコミュニケーションは円滑になるし、結果として自分自身も心地がよくなる」と自覚しました。

それからは頭を回転させ、表情を読み取り、相手の動きや声のトーンまでも敏感に察知しながら、みんなが心地よくなれるように自分のコミュニケーションを調整するようになったのです。

「お前、八方美人だな」とはじめて言われたのは高校生のときでした。

最初、私は嬉しかったんです。

「ようやく、僕の頑張りに気づいてもらえた!」と素直に喜びました。

でも、八方美人は悪い意味の言葉だと知って、悲しくなりました。

みんなを心地よくするための努力が、否定されたように感じたのです。

それから「八方美人だね」とか「要領がいいね」と言われることが、すごく悔しくなりました。

しかし大人になるにつれ、自分に対して
いや、僕は間違っていない。ちゃんと努力してコミュニケーションを取っているし、やりとりを円滑にするために様々な取り組みをしている。だから、何もしていないやつより、すごいんだ」
と認識を改めました。

そして、自分で自分を勇気づけるために「八方美人」を褒め言葉として捉えるようになったのです。

「八方美人」は噓つきではない

「八方美人」は「人によって態度を変える人間」という意味で使われることが多いと感じます。

Aさんの前ではBさんの悪口を言い、Bさんの前ではAさんの悪口を言う。それぞれに噓をつく人のようなイメージです。

しかし、私がこの本で勧める「八方美人」は違います。

自分の信念を曲げるのではなく、コミュニケーションを工夫することで、八方向のあらゆる人に信念を伝えられる人。それが目指すべき八方美人の姿です。

自分を捨てる必要はありません。必要なのは、あなたの目的を叶えるための幅の広いコミュニケーションスキルです。

(本原稿は黄皓著『超完璧な伝え方』から一部を抜粋・改変したものです)