また、商品券での買い物は、現金よりも高いものを購入しやすくなっています。プリペイドカードの支払いは、現金よりも支払い実感度が低く、支払い金額の上昇を招くことがわかっています。

 ポイントに関する実験も行なわれており、ポイント残高が多い場合は、支払うときの痛みが低く、ポイント残高が低い場合は、支払いに大きな痛みを伴うことがわかっています。

●キャッシュレス化に伴ない、注意したい点

 近年、日本ではキャッシュレス決済が伸びているものの未だ支払いの痛みの大きい現金がもっとも利用されており、それが個人消費の抑制に影響を与えているのではともいわれています。クレジットカード、電子決済など便利になる一方で、高額商品の購入が安易に促進されないように、浪費の観点からは注意していく必要があります。

ネット通販には行動経済学のワナがいっぱい

 日本のネット通販の拡大は著しく、富士経済の調査によると2021年は前年比10.1%増の伸びを見せており、2022年は2020年比で20.2%増にまで拡大するのではと試算されています(※)。

 ただし、ネット通販には行動経済学で考えられる「ワナ」がたくさんあります。こうしたポイントに引っかからないことも、お金を無駄に使わないためには重要です。

●定期便戦略

 毎月、定期的に送られる定期便を利用すると、大変便利です。しかし、本来必要でなかったときに、人は現状維持バイアスが機能するために、すぐに解約手続きを取れなくなってしまいます。なかには初回だけ安い設定になっているところもあり、注意が必要です。

●口コミのワナ

 新しい商品を買うとき、多くの人が口コミを確認して、最終的に購入を決定しているのではないでしょうか。販売側もその動線を熟知しており、口コミを増やしてもらったり、よい口コミを書いてもらうことに注力しています。

●条件に注意

 安い商品を探していると、単に値段比較だけで商品購入を決めてしまう人がいます。よく見ると送料が割高なこともあり、総額での購入にかかる金額を必ずチェックするようにしましょう。

※富士経済「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2021」