「コミュニケーションは“お笑い”のスキルでもっとうまくいきます」。そう語るのは、元芸人でネタ作家の芝山大補氏だ。芸人300組以上のネタ制作に携わった経験を活かし、ビジネスパーソンから一般の方まで幅広い層に「コミュニケーションに活きる笑いのスキル」を教えている。そのノウハウをまとめた初の著書『おもろい話し方 ~芸人だけが知っているウケる会話の法則』が話題を集めている。「初対面でも会話が続く人がやっていること」「トークで相手を引き込むコツ」「相手の心に10倍響く“感想”の伝え方」「好かれるリアクションの極意」「すべらない話の作り方」「お笑いタイプ診断」など、元芸人ならではのコミュニケーションノウハウが満載の一冊だ。今回は、その芝山氏に相づちのコツについて聞いてみた。

コミュ力の高い人の“相づち”。二流は「へえ」と言う、一流は「復唱する」、では超一流は?Photo: Adobe Stock

相づち上級者が使う「オウム返し」とは?

 皆さんは話を聞くとき、どんな相づちをしているでしょうか。

「へえ」というような冷めた相づちが悪いということは、誰もがわかると思います。

 では、会話における良い相づちとはどんなものか。

 まず紹介したいのは、拙著『おもろい話し方』のリアクションのコツでも紹介した「オウム返し」です。

 たとえば、「彼氏に水族館行きたいって言ったら、明日行くことになったんだよね~」と言われたとき、「水族館! 明日!?」というように相手の話で特徴的なポイントを繰り返すと「興味を持っている感」や「しっかり話を聞いている感」を与えられます。

超一流の聞き手は「ことわざ」を使う!

 今回はさらにその上、本書でも紹介しなかった「超一流」のリアクションについても紹介しましょう。

 それは、「ことわざで相づちする」です。次のような感じです。

A「彼氏に水族館行きたいって言ったら、明日行くことになったんだよね~」
B「思い立ったが吉日ってわけだね!」

 いかがでしょう。こう返すと、かなり会話上手に見えませんか?

 相手の話を象徴するような「ことわざ」でリアクションすると、まるでオチがついたかのように会話が締まった感じがします。

 これは、千原ジュニアさんが聞き手のときによく使うテクニックです。ジュニアさんクラスになると、次のようなやり方で、ことわざを”変化”させたりもしています。

A「僕はね、20歳の頃から30年、この仕事をやってるんだよね」
B「すごい! 石の上にも3年どころか、石の上にも30年じゃないですか!!」

 こんな感じです。かなり高度なテクニックですが、よくあるシチュエーションで使えることわざをいくつかピックアップしておけば臨機応変に対応できます。

 たとえば、「泣きっ面に蜂(悪いことが重なるという意味)」ということわざがありますが、あまりに悲惨なことがあった友人に対して、「泣きっ面に蜂どころか、サソリくらい最悪やな」と返すなどもいいでしょう。ぜひ、チャレンジしてみてくださいね。

芝山大補(しばやま・だいすけ)
ネタ作家
1986年兵庫県生まれ。2007年、NSC大阪校に入学。2009年、2011年には、それぞれ別のコンビでキングオブコント準決勝進出。2015年にはフワちゃんと「SF世紀宇宙の子」を結成。同コンビを解散後は、ネタ作家に転身。賞レースのファイナリスト、セミファイナリストなど、芸人300組以上のネタ制作に携わる。2019年からは、「笑いの力で人間関係に悩む人を救いたい」という想いから、お笑いの技術を言語化して伝える「笑わせ学」に取り組む。講義やイベントでの指導、YouTubeやTikTokでの活動を通じて、多くの人に芸人の技術を伝えている。発売から続々重版が決まっている初の著書『おもろい話し方』が絶賛発売中。