11×11~19×19をパパっと暗算できる「おみやげ算」。新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』は、小学生の計算力強化はもちろん、大人の脳トレとしても役立ちます。本書の著者である、東大卒プロ算数講師の小杉拓也氏に、「計算の順序」にもふれながら、わかりやすく解説してもらいました。
おみやげ算のおさらい
さっそくですが、おみやげ算の計算法について説明します。
(例)12×17=
①12×17の右の「17の一の位の7」をおみやげとして、左の12に渡します。すると、12×17が、(12+7)×(17-7)=19×10(=190)になります。
②その190に、「12の一の位の2」と「おみやげの7」をかけた14をたした204が答えです。
まとめると、12×17=(12+7)×(17-7)+2×7=190+14=204です。
この2ステップで、例えば、16×14、13×15、17×19などの「十の位が1の2ケタの数どうしのかけ算」は、おみやげ算を使ってすべて計算でき、慣れると暗算もできるようになります。
「おみやげ算で計算できる理由の証明(文字式を使った説明)」については、本連載の第2回『「16×18=288」が爆速で暗算できる驚きの方法』に掲載しています。
また、小学生向けの理由の説明は、新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』の巻末に、長方形の面積図を使った方法を載せているので、興味のある方はご参照ください。
「8、6、10、4、□、2、14」の□には何が入るでしょうか?
まず、次の問題をみてください。
8、6、10、4、□、2、14
この問題では、となりあう数の差に注目しましょう(中学数学の範囲で解説します)。
2番目の数-1番目の数=6-8=-2
3番目の数-2番目の数=10-6=4=+4
4番目の数-3番目の数=4-10=-6
-と+を抜いた数の部分は、「2、4、6、8、10、…」と2ずつ増えていき、符号(+と-)は、「-、+、-、+、-、…」のように、繰り返されている可能性があります。
ここで、もとの数列をみてみましょう。
8、6、10、4、□、2、14
まず、1番目の数8から2を引くと、2番目の数の6になります。
2番目の数6に4をたすと、3番目の数の10になります。
3番目の数10から6を引くと、4番目の数の4になります。
4番目の数4に8をたすと、5番目の数(□)の12になります。
同様に、5番目の数12から10を引くと、6番目の数の2になり、2に12をたすと、7番目の数の14になるので、元の数列と一致することがわかります。□に入る数は12ということですね。
ところで、この数列には、もう1つの規則性があります。「8、6、10、4、12、2、14」のとなりあう数の和に注目しましょう。
「8+6=14」、「6+10=16」、「10+4=14」、…、「2+14=16」
このように、となりあう数の和に「14と16」が繰り返されています。この規則性を使って、□を12と求めることもできます。
では、この問題で出てきた「8、6、10、4、12、2、14」の数を使った計算を暗算できるでしょうか?