老害か!?賢人か!? 独裁経営者・実名ランキング #7Photo:Micol Carraro/gettyimages

名誉会長相談役に社友名誉会長など、上場企業には経営のトップである社長よりも偉そうな、仰々しい肩書を持つ長老たちが存在する。彼らが社内でどんな役割を担い、どれほどの報酬を受け取っているのか謎は多い。特集『老害か!?賢人か!? 独裁経営者・実名ランキング』(全8回)の#7では、取材を基に徹底解明を試みた。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

社長と名誉会長、名誉相談役…
一体、誰が一番偉いのか?

 あなたの会社に代表取締役社長と、直前まで社長だった相談役がいるとしよう。この二人のどちらが最高権力者か――。

 こう聞かれて、あなたはどう答えるだろうか。代表取締役社長は会社を代表する「代表権」を持っており、かつ経営の全責任を負っている。そのため、代表取締役社長が最高権力者だと答えるのが正解となる。

 だが、これは“建前”だ。現社長にとって、社長や会長を務めた人物は先輩であり元上司。しかも自らを会社内で引き上げてくれた“恩人”でもある。つまり、相談役は、株主以外で社長に強く物を言える人物であり、実質的には社長よりも権力を持っていることがあるのだ。そう考えると、冒頭の問いに“本音”で答えるなら、最高権力者は相談役だと言えるわけだ。

 こうした表面上の職位や肩書と、実際の社内における権力の序列が逆転している会社は、決して珍しくない。それはすなわち、コーポレートガバナンス(企業統治)が機能不全に陥りやすいリスクを抱えているということだ。

 そこでダイヤモンド編集部では、全上場企業の取締役の肩書と、「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」(CG報告書)を調査。最高権力者である代表取締役社長よりも、実質的に社内で力を持っているとみられる肩書を抽出した。

 単なる役職では不十分だったのか「名誉」や「最高」を付けて権威の高さを強調している肩書や、「会長」や「相談役」など役職が二つ付くもの、どのような役割と責任を負っているのかよく分からない「社主」「社友」……。見るからに偉い、仰々しい謎の「おもしろ肩書」が続々と浮かび上がった。それでいて株価を調べると、「会社を解散した方がまし」というレベルの成果しか出せていない会社もあるのだ。

 次ページで、社名と実名も含めて、早速紹介していこう。