会長や社長の年齢が、従業員や管理職らと大きく乖離した会社は、権威主義的な“長老支配”がはびこる恐れがある。人事の滞留を招き、組織として中間層が育たない弊害も起きやすい。その危険性の高い企業はどこか。特集『老害か!?賢人か!? 独裁経営者・実名ランキング』(全8回)の#3では、経営陣の年齢を従業員の年齢で割って628社の「長老支配倍率」をダイヤモンド編集部で独自試算したところ、上位10社に90歳以上の会長2人が入った。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
権威主義的な“長老支配”がはびこる会社は?
本邦初公開!経営者628人の「長老支配倍率」
経営者は超高齢なのに従業員は若い――。日本には、このような企業が意外と多い。そのいびつな年齢構成が意味するところは二つある。
前向きに捉えれば、「若い人に人気」「新しい血を入れている」会社になるかもしれない。
一方で、「給料が安い若手をこき使う」「自分たちを追いやるような次世代幹部の台頭を許さない」。このような隠れた本音が経営者にあり、その結果、絶望した若手や中堅社員が次々と辞めていき、物を申せる中間層が消える……。後者に当てはまる場合、その会社は「老害経営の極み」にあるといえるだろう。
こういった危機に陥りそうな会社はどこか。ダイヤモンド編集部は経営者の年齢に着目し、企業の現場や幹部の平均年齢と大きく乖離していないかどうかをチェックした。
今回のランキングは、取締役の平均年齢と従業員の平均年齢の乖離も考慮し、「長老支配倍率」として計算した。対象者は各社1人で、代表取締役会長。会長がいても代表権がない場合は、代表取締役社長を選んだ(役職は原則、2023年1月5日時点の有価証券報告書ベース)。倍率が高い企業では権威主義的な“長老支配”が、はびこっている恐れがある。
次ページでは、628社の会長・社長の長老支配倍率を、実名で公開している。上位10社の中には、90歳を超える人物が2人もいた。50社以内には信越化学工業やオリエンタルランド、レンゴー、伊藤園、日本電産、三井不動産、ダイキン工業、JR東海といった、日本の名だたる企業の経営者がランクインしている。
社員は若いのに、経営トップは超高齢の会社はどこか?早速、長老支配倍率ランキングを確認していこう。