すべてが最高。絶品の走り味!
しかもファーストカーとして使える実用性が光る

 加速フィーリングは、ターボ付きの4気筒ユニットを搭載したモデルとはまったく異なる。6速MT仕様でもアクセルペダルに触れることなくクラッチミートが可能というフレキシブルな低回転域での特性を備えながら、アクセル踏み込みに遅滞なくリニアに応答。調律の行き届いたフラット6サウンドを響かせながら回転数が高まるほどにパワーが伸びて行く。その情感の豊かさは、ターボ付き4気筒ユニットをはるかに凌駕する。「GTS4.0の魅力の根源は、このエンジンに宿っている」といっても過言ではない。まさに甘美な印象をタップリと味わわせてくれる。

 MT仕様に遅れて導入されたポルシェが“PDK”と称する7速DCT仕様車の場合でも、そうした美点は健在。いっさいのマイナス面は存在しない。

 絶品のシフトフィーリングを提供してくれるMTは“AT限定免許を解除してでも乗る価値がある存在”だが、PDKの完成度も極めて高い。シームレスでスムーズな変速動作を披露し、ツイスティなワインディングロードはもちろん、サーキットでの激しく加減速を行うシチュエーションでも、まるで迫り来るコーナーの状況を“先読み”しているかのような完璧なシフトワークを行う。結果として、動力性能全体がまさに非の打ちどころのないレベルに達している、と紹介できるのだ。

 ハンドリングも素晴らしい。ミッドシップ・レイアウトらしいシャープなハンドリングと前後バランスに富んだブレーキング時の感覚を実現しながら、決してトリッキーな挙動を示さない優れたフットワークは見事だ。ケイマン/ボクスターならではの美点は健在である。

 大排気量のエンジンを搭載したことでバランスを崩してしまうのではないか……という心配は杞憂だった。GTS4.0は、電子制御式の可変減衰力ダンパー“PASM”が標準で装備されることもあって、クルージングシーンでフラット感に富んだ乗り味が味わえるのも魅力だ。

 GTS4.0は、一度ステアリングを握ると、どこまでも走って行きたくなる。しかもドライビングそのものが楽しいと感じさせてくれるから、まったく飽きない。