「脱炭素」で勝つための
3つの勘所とは
ESG経営で勝つためには、脱炭素を梃に自社を成長させる視点が欠かせない。勘所を3つ紹介する。
【勘所1】
「常設」の推進体制構築による熱の維持
脱炭素推進の旗振り役は、事業部門とは独立したサステナビリティ部門に担当させることが有効だ。
一般論として、全社横断プロジェクトにおける推進部門は、調整機能を担うことを期待される。脱炭素プロジェクトも例外ではなく、可視化の段階においては「営業部門と設計部門のどちらが責任を持って行うか」といった社内コンフリクトの調整にまわることも多い。
しかし、ここでのポイントは「調整役ポジションを作りましょう」ということではない。推進部門を「常設」するという点にある。脱炭素推進のような全社横断プロジェクトは、時間軸も長く、プロジェクトメンバーの通常業務との兼務が横行し、キーパーソンが異動や退職で離脱することも少なくない。トップがいくら号令をかけたとしても、その熱はいずれ冷める。熱を組織として維持し、推進する体制を整備することが一丁目一番地だ。
【勘所2】
「機会」の視点を現場に与える
経営トップがコミットメントを示し、サステナビリティ部門が旗を振ったとしても、脱炭素への取り組みは事業部門や生産拠点など、現場がその負荷を受容することで行われる。
現場からしてみれば、脱炭素の取り組みは、目先の業績目標に比較して壮大過ぎ、時間軸が長く、しかも通常業務外の負担が発生する損な役回りでしかない。