11×11~19×19をパパっと暗算できる「おみやげ算」。新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』は、小学生の計算力強化はもちろん、大人の脳トレとしても役立ちます。本書の著者である、東大卒プロ算数講師の小杉拓也氏に、「速さの問題」にもふれながら、わかりやすく解説してもらいました。

【制限時間15秒】「秒速0.3mで17分間、進む道のりは何mか」を暗算できる?Photo: Adobe Stock

おみやげ算のおさらい

さっそくですが、おみやげ算の計算法について説明します。

(例)12×16=

①12×16の右の「16の一の位の6」をおみやげとして、左の12に渡します。すると、12×16が、(12+6)×(16-6)=18×10(=180)になります。

②その180に、「12の一の位の2」と「おみやげの6」をかけた12をたした192が答えです。
まとめると、12×16=(12+6)×(16-6)+2×6=180+12=192です。

この2ステップで、例えば、14×14、13×15、17×19などの「十の位が1の2ケタの数どうしのかけ算」は、おみやげ算を使ってすべて計算でき、慣れると暗算もできるようになります。

「おみやげ算で計算できる理由の証明(文字式を使った説明)」については、本連載の第2回『「16×18=288」が爆速で暗算できる驚きの方法』に掲載しています。

また、小学生向けの理由の説明は、新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』の巻末に、長方形の面積図を使った方法を載せているので、興味のある方はご参照ください。

「秒速0.3mで17分間、進む道のりは何mか」を暗算できますか?

まず、次の問題をみてください。

【問題】秒速0.3mで17分間、進む道のりは何mですか。[制限時間15秒]

まず、「速0.3m」と「17間」の単位がそろっていないので、「速0.3m」を「速~m」に直しましょう。

「秒速0.3m」は「1秒間に0.3m進む速さ」のことなので、1分間(=60秒間)では、(0.3×60=)18m進む速さであることがわかります。つまり、「秒速0.3m=分速18m」です。

これにより、「分速18mで17分間、進む道のりは何mか」を求めればよいことになります。「1分間に18m進む速さ」で17分間進むのですから、道のりは「18×17」を計算すれば求められます。

18×17は、「十の位が1の2ケタの数どうしのかけ算」なので、おみやげ算で、次のように計算できます。

①18×17の右の「17の一の位の7」をおみやげとして、左の18に渡します。すると、18×17が、(18+7)×(17-7)=25×10(=250)になります。

②その250に、「18の一の位の8」と「おみやげの7」をかけた56をたした306が「18×17」の計算結果です。
これで【問題】の答えが「306m」と求められました。スムーズに暗算できたでしょうか。

おみやげ算ができるようになれば、今回の問題を15秒以内に暗算することも可能です。さまざまな計算法がありますが、おみやげ算を、そのひとつに加えてみるのはいかがでしょうか。まずは、11×11~19×19の暗算をマスターしましょう。小学生の計算力強化はもちろん、大人の脳トレとしても役立つ、新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』がおすすめです。