「このまま」今の仕事を続けても大丈夫なのか? あるいは「副業」をしたほうがいいのか? それとも「起業」か、「転職」をすべきなのか? このように感じたとしたら、それは皆さんの考えが正しい。なぜなら、今感じているお金に対する不安は、現実のものとして近づいているからです。無収入となる65歳から70歳、もしくは75歳までの空白期間を、自己責任で穴埋めしなければならなくなる未来が、相次ぐ法改正でほぼ確定しました。
そんな人生最大の危機がいずれ訪れますが、解決策が1つだけあります。それはいますぐ、「稼ぎ口」を2つにすること。稼ぎ口を2つにすれば、年収が増えて、節税もでき、お金が貯まるからです。『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』では、余すことなく珠玉のメソッドを公開しています。受講者は6000人に及び、その9割が成功。さぁ、新しい働き方を手に入れましょう!

昇給昇格を目指すよりも大事なことPhoto: Adobe Stock

昇格しても「責任」が増えて「お金」は増えない

 桜のシーズンは人事異動のシーズンであると同時に、昇給昇格のシーズンでもあります。収入増とプライドがかかっていますので、サラリーマンは皆ソワソワし始めます。

 しかし、昇給昇格できても、一概には喜べません。なぜなら、責任と心労が増える一方で、収入増に関しては、はなはだ疑問だからです。特に40代にとっての昇格は管理職を意味するので、上司と部下の板挟みになったり、残業代がつかなくなったりして、踏んだり蹴ったりです。

 冷静に考えると、昇格して満たされるのは自尊心だけかもしれませんね。実際に試算したところ、金銭面でのメリットはありませんでした。収入が増えない最大の原因は、日本の税制と社会保険の仕組みにあります。

サラリーマンは昇格してもタダ働き

 厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに試算すると、役職間の賃金格差は、係長・課長間も、課長・部長間も、月額約10万円です。10万円も昇給するのなら、熾烈な出世競争を繰り広げる価値は、あるのかもしれません。

 しかし、10万円昇給できても、手許にはほとんど残りません。たとえば課税所得が330万円超であれば、所得税率は20%、社会保険料は約15%、住民税は一律10%ですから、「税金+社会保険」の合計は約45%です。

 したがって、10万円昇給しても手取りは5万5000円しか増えません(わかりやすいように、控除等を無視)。その一方で、2万6000円の残業代がもらえなくなります(平均残業時間13時間×正社員平均時給2000円)。実質的な手取り増は、2万9000円しかないということ。これでは実質税率7割ですよね。四公六民の重税にあえいだ農民の年貢の約2倍です。

 しかも、昇格に伴って目に見えない出費が増えるので、その2万9000円はすぐになくなります。たとえば、飲み会代は傾斜配分されますし、冠婚葬祭等も肩書きに合わせて負担が増えます。愛車や身なりなどの見た目もランクアップせざるをえません。個人事業主であれば経費で落とせても、サラリーマンは経費にできません。おまけに児童手当や配偶者控除が減らされるので、昇給とは裏腹に家計は火の車になるのです。

 私は新卒で銀行に就職し、50歳までの30年近くをサラリーマンとして働いてきましたが、身をもってこの悲劇を経験しました。責任と重圧だけが増え続ける一方で、昇格分はタダ働きだったのです。

体力が続く40代のうちに「やりたいこと」を始めよう

 では、サラリーマンには、何もなすすべはないのでしょうか?

 1つだけ解決策があります。それは「稼ぎ口二刀流」です。「稼ぎ口二刀流」とは、サラリーマンという稼ぎ口以外に、2つ目の稼ぎ口を育てる生き方です。不毛な出世競争とはおさらばして、心の底から「やりたいこと」を2つ目の稼ぎ口に育てて、愉しみながら稼ぐのです。サラリーマンと違って、「税金+社会保険」は、ほとんど増えません。副業禁止の就業規則に違反することもありません。

 私も40歳を過ぎた頃に「稼ぎ口二刀流」に気づいて、大きく舵を切りました。ほどなくして本業の収入を上回るようになりました。そのおかげで、50歳で銀行を辞めて「やらされ仕事」とおさらばし、「やりたいこと」で独立することができたのです。

 2つ目の稼ぎ口を育てれば、収入が増えるだけでなく、新しいスキルが身につきます。それにより、50代での独立が視野に入るのです。

 私はいま50代後半ですが、40代のときと比べて体力が激減しています。定年を迎える50代後半のタイミングで慌てて何かを始めようと思っても、体がいうことをきかないなって、実感しています。

 そう考えると、サラリーマンにとっては40代こそが、人生後半戦のキャリアを自分で選択できる最後のチャンスかもしれません。40代で予行演習を始めれば、定年までには余裕で独立できます。

 泣いても笑っても、人生一度限りです。昇給昇格が本格化する桜の季節だからこそ、自分が本当にやりたいことを見つけて、人生100年時代の後半戦の生き方を考えてみてはいかがでしょうか。

**本記事は、『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』著者による書き下ろしです。