しかし、実態は自工会が豊田章男会長の辞意表明を受けて直ちに緊急理事ミーティングを開いたところ、全理事の意見が会長続投に向けて慰留することで一致した。

 それというのも、5月に広島でのG7サミット、10月の「ジャパンモビリティショー」と続く今年の自工会関連大イベントに、豊田章男会長のリーダーシップが欠かせないからだ。自工会改革にナタを振るってきた豊田章男会長には“総仕上げ”への期待が強く「もって余人に変えがたい」(片山正則副会長)上、次の会長候補が現状では見当たらないというのが実情だった。

 23日の自工会記者会見には、豊田章男会長のほか、片山正則筆頭副会長(いすゞ社長)、三部敏宏(ホンダ社長)、内田誠(日産自動車社長)、日高祥博(ヤマハ発動機社長。「高」ははしごだか)、鈴木俊宏(スズキ社長)、永塚誠一(自工会専務理事)に加え、4月に就任する佐藤恒治(トヨタ次期社長)ら副会長7人全員が出席し、来年5月まで任期が残る豊田章男会長を支え、正副会長のチームで乗り切る体制を強調するものとなった。

 豊田章男会長は、辞任の表明から一転して続投を決めたことについて「自動車業界が大きな変革の波にさらされている中で、日本の自動車メーカーの執行トップが一堂に会して競争と協調を議論することが必要不可欠となっている。私自身は、最後の仕上げとしてこの難局に向かって日本に貢献するため1年間自工会会長をやることとした」と説明した。

 また「最初に自工会副会長になったのは2010年でそれから12年が経過し、日本の自動車産業を守り抜き、世界の自動車産業を日本がリードする気概を持っている。日本の競争力を上げよう、一緒に戦おうと自工会組織改革にも着手してきた。私自身、自工会活動を経験してきて十数年、持続的かつ役割が大きいことを実感している。土台はできたので、タスキを渡すためにこの1年間がんばってみよう」との思いを披瀝した。