組織やメンバーの特性によって
オンボーディングをパーソナライズ

 新メンバーを早期に戦力化するには、組織・事業を理解し、チームや組織がどこへ向かおうとしているのかを理解してもらう必要があります。具体的にはミッション・ビジョン・バリューや戦略を理解することです。

 また業務遂行スキルの習得も必要です。職能スキルや、業務遂行に必要な事業ドメインの知識、業務スキルを身に付けることがこれにあたります。

 さらに、動機付けも必要です。新メンバーが環境に早く順応できるようにすること、しっかりと心理的安全性を持てるような環境にしておくことが挙げられます。

 新メンバーを迎え入れるにあたって、「何もしない」企業も少なくはありません。昔ながらの昭和型の企業や、人員に余裕のないスタートアップなどでは、特にそうなりがちです。

 その中には、自分で這い上がってこられる人だけが生き残るスタイルを良しとしている企業もありますが、明示的にオンボーディングというかたちが取れていないだけという企業も少なくありません。実務を通じたオン ジョブ トレーニング(OJT/仕事の中でのトレーニング)で、オンボーディング相当のことを組織的に行っている企業もあります。

 従来の一般的な企業で最もよく見られたやり方は、人事主催で研修やオリエンテーションを行うスタイルで、典型的な例は「新入社員研修」です。このかたちが主流だったのは、終身雇用制度の影響が大きいでしょう。終身雇用制度が残る業界や企業では、今でも新人研修をオンボーディングの中心としているところがあります。

 一方、最近注目されているのは、人事部門だけでなく現場組織も含めたオンボーディングです。組織や新メンバーの特性によってパーソナライズするのが、新たなオンボーディング手法の特徴です。