個人タクシーの領収書が
経費として認められない可能性も

 インボイス制度に関わりがあるのは事業者だけではない。

 ビジネスパーソンがこれまで「経費として落としていたもの」についても、インボイスである領収書なのか否かを判断する必要が出てくる場合もある。

「例えば、仕事で使うボールペンを購入した文房具屋が免税事業者の場合、会社の経理から『この領収書では経費として認められません』と突き返されてしまうかもしれません」

 こうした事態を防ぐために、インボイス発行事業者か否か判断できるような表記を促す措置が取られる可能性もあるという。

 特に影響があるとされているのが、個人タクシーだ。

「個人タクシーを利用するとき、乗車前に『インボイスを発行できるか確認したい』と言う人が増えるだろうといわれています。会社の経理に認めてもらえない免税事業者のタクシーへの“うっかり乗車”を防止するために、一目でインボイス発行事業者か区別できるようになる、というわけです」

 インボイス制度の実施で影響を受ける人は、決してごく一部ではない。免税事業者である個人事業主のみならず、企業や公共組織に所属している人たちも、インボイス制度の影響を受けることになるだろう。

 10月1日の制度実施までに、“当事者”としてインボイスについて考える必要がありそうだ。