企業の採用活動は早期化
理系の内定率が高い理由は?
企業の採用活動の選考プロセス別にデータを見ると、最終面接については、2月の活動実績平均は1.59社。社数自体は前年同時期と比べて減っているものの、実施率自体が28.7%と前年同時期と比べて10.5ポイント増加しています。23卒に比べ、24卒では選考のプロセス自体が早くなっていることが見て取れます。
前年と比べてより多くの学生が早い時期に最終面接を経験したことで、内定率の高さにつながったと言えるでしょう。しかし、9割弱の学生は最終面接を受けたり、内内定を取得したりしていても、まだ就活を継続していくということもわかっているので、選考辞退や内定辞退が増える可能性があると考えられます。
就活生の視点で考えると、3月中旬時点で約4割の学生に内定が出ているので、周囲からは既に内定をもらっていたり、次が最終面接であるという友人がいたりして、焦りを感じることもあるかもしれません。しかし、実際には3月1日から企業の採用広報が本格的に始まったばかりなので、就活の本番はこれからです。最終選考まで進んでいる人もまだ選考に進んでいない人も、今後もしっかり準備をして面接に臨めば、自分の納得できる形で就活を進められるので、活動し続けることが大切です。
内定率が着実に伸びている中、一部の企業では、就活の選考の山を3月と6月に2つ設けるところも出てきています。留学生や、体育会系の部活動が忙しくてなかなか従来の就活スケジュールに合わせて活動できない人など、多様な価値観やバックボーンを持つ人材を獲得したいと考えている企業側の意向と、画一的で一律的なスケジュールでは選考に参加するのが難しいので、柔軟で弾力的に採用選考を行ってほしいという学生の思いが重なっているのではないかと感じます。
3月18日時点の内定率を改めて分析すると、理系学生の内定率が文系より高いのは、明確に「こういう経験、こういう意識を持っている人を採りたい」という企業の意思が働いて、そうした学生に優先的にリソースを振り向けて採用活動を行っている企業もあるためであると考えられます。文系・理系問わず、男女別で見てみると、それほど差は出ていません。
その他地方と都市部の差に関しては、次のような見立てができるかと思います。23卒の採用計画に対する充足率は40%程度で収束しており、これは、採用計画に対する充足率を企業に調査し始めた2012年卒以来、過去最低の数字です。そこで、企業側はなんとしても24卒の充足率を上げたいと考えた結果、若干早めに動いていたということがあります。
とりわけ、採用競合が多い都市部の企業でその危機感が高まった結果、その他地域となっている地方の企業よりも若干動きが早くなったことで、その他地方の内定総量が減少し、相対的に都市部の内定総量が上がっているという状況が見られると推察されます。