Case5「何でも相談してね!」
新人時代は、とにかくわからないことだらけ。例えば、オフィスで電話一つ取るのにも、「コール何回ぐらいで取ればいいんだろう?」「どのように応対すればいいんだろう?」「わからないことを聞かれたらどうしよう」「そもそも自分みたいな新人が電話を取っていいんだっけ?」…などあれこれ悩み、不安を感じてしまうものです。
上司や先輩、クライアントなど、これまで経験したことのない人間関係の中で、どうふるまうのが正解なのかわからなくなる人もいます。
今やベテランと呼ばれる人であっても、新人時代は同じように悩み、不安を感じた経験があるので、新人に「困ったことがあったら何でも相談してね」と声をかける人も多いと思います。上司に当たる人であればなおさら、新人の悩みや不安を一刻も早く解消し、一人前になってもらいたいと思うことでしょう。ただ、新人の側からすれば「10歳も20歳も上の人に悩み相談なんてしづらい…」と腰が引けてしまうのが普通です。
そんなとき、このように声をかけるといいでしょう。
◎「普段からコミュニケーションを取っていると、君の評価がしやすいんだ。だから何でも話してほしい」
実は「何でも話してほしい」と同じことを、言葉を変えて言っているだけなのですが、自分から「やってみよう」と行動してもらいやすくなるのがこの伝え方。
Z世代の多くは、自分を認めてほしい、頑張りを正当に評価してほしいと思っています。「評価がしやすい」というのは、伝え方の技術「相手の好きなこと」。普段から会話をするようにすれば、きちんと評価してもらえるんだ、ならば何でも話してみよう…と思ってもらいやすくなります。
今回は、入社初日に退職してしまったという新入社員の実話から始まりましたが、新人は誰しも多くの期待と不安を抱えて入社してきています。そんな彼らに対して何と言えば、より思いが正しく伝わるのか、考える習慣をつけるといいでしょう。
伝え方ひとつで、チームの一員として早期に力を発揮してくれるようになるかもしれないし、逆に早々に辞めてしまうなんてことも起こり得ます。今回ご紹介させていただいたような「伝え方の技術」を使えば、自分から「やってみよう!」と能動的に動いてもらえるようになる確率がぐんと高まります。Z世代とのコミュニケーションに不安を覚えている人は、ぜひ今回の事例もうまく活用いただきながら、新人とコミュニケーションを取ってみてください。
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師
新入社員時代、もともと伝えることが得意でなかったにもかかわらず、コピーライターとして配属され苦しむ。連日、書いても書いても全てボツ。当時つけられたあだ名は「最もエコでないコピーライター」。ストレスにより1日3個プリンを食べる日々をすごし、激太りする。それでもプリンをやめられなかったのは、世の中で唯一、じぶんに甘かったのはプリンだったから。あるとき、伝え方には技術があることを発見。そこから伝え方だけでなく、人生ががらりと変わる。本書はその体験と、発見した技術を赤裸裸に綴ったもの。本業の広告制作では、カンヌ国際広告祭でゴールド賞を含む3年連続受賞、など国内外55のアワードに入選入賞。企業講演、学校のボランティア講演、あわせて年間70回以上。郷ひろみ・Chemistryなどの作詞家として、アルバム・オリコン1位を2度獲得。「世界一受けたい授業」「助けて!きわめびと」などテレビ出演多数。株式会社ウゴカス代表取締役。伝えベタだった自分を変えた「伝え方の技術」をシェアすることで、「日本人のコミュニケーション能力のベースアップ」を志す。
佐々木圭一公式サイト:www.ugokasu.co.jp
Twitter:@keiichisasaki