「英語を話せるようになりたい」という人にぜひ読んでほしい1冊が『5分間英単語』だ。1トピック5分のトレーニングで、日本人の英語学習に不足しているボキャブラリーを拡大し、スピーキングやリスニングなど実践的な英語力アップに役立つ1冊だ。著者は、英字新聞The Japan Times Alpha編集長を10年以上務める高橋敏之氏。一般的な英単語集には記載されていない「ニュアンス」や「実際の使われ方」を丁寧に解説した。本稿では『5分間英単語』から特別に一部を抜粋して紹介する。
walk:「歩く」からイメージを膨らませよう
walkはwalk to work(歩いて通勤する)のように、文字通り「歩く」という意味だけで使うわけではない。ここでは単純に「歩く」という意味を覚えているだけでは対応しきれないwalkの注意すべき用法をいくつか見ていこう。
(1)「~を歩いて連れていく」
(2)(walk out on ~の形で)「~を見捨てて出ていく」
(3)(walk ~ throughの形で)「~にゆっくり説明する」
(1)「~を歩いて連れていく」
まずwalkは、「歩く」という自動詞ばかりではなく、「~を歩かせる、~を歩いて(どこかへ)連れていく」という他動詞としての用法もある。
walk the dog(犬を散歩させる)、walk my son to school(息子を歩いて学校に連れていく)のような使い方がこれに当たる。また、walk the bicycleは、自転車をこがずに歩いて押すことを意味する。
(2)(walk out on ~の形で)「~を見捨てて出ていく」
続けて、walk out on ~という表現。これは「(家族・恋人など)~を見捨てて出ていく」という意味を表す。
walk outは、文字通りには「外に歩いていく」。そこから「出ていく」の意味で使われるというのは、容易に想像がつくだろう。
一方、最後のonは「~にとって負担・不利益になる」という意味を表している。onは「~の上にのっている」というのが基本的なイメージだが、のられている側には重さがかかるため「~にとって負担・不利益になる」というニュアンスが出ることがある。
例えば、My PC died on me.(パソコンが死んだ⇒壊れた)という文。diedだけでも故障したことは伝わるが、最後のon meは、その結果私にとって不利益が生じていることを意味している。hang up the phone on me(一方的に電話を切られる)、shut the door on me(私の目の前でバタンとドアを閉められる)なども同様だ。このwalk out on ~のonも、「出ていった結果、~に不利益が生じる」という意味だと押さえておこう。
(3)(walk ~ throughの形で)「~にゆっくり説明する」
最後にwalk ~ throughは「~にゆっくり説明する」という意味を表す。throughは「通り抜ける」という意味を持つ語。よって、直訳すると「~を歩いて通り抜けさせる」となる。
例えば、英文法が苦手な人がいるとしよう。その人はある意味「英文法の森」で迷子になっている状態。その人の手を引いて歩きながら、英文法の森を一緒に抜けるということは、すなわち「~に英文法をゆっくりと説明してあげる」という意味を表すというわけだ。このイメージで捉えておこう。
(1)「~を歩いて連れていく」
My father walks the dog every morning.
「父は毎朝、犬を散歩させる」
The nurse walked Ben to the bathroom.
「その看護師はベンをトイレまで歩いて連れていった」
“I’ll walk you home.” “Thank you, but I’ll take a cab.”
「家まで送るよ」「ありがとう、でもタクシーを使うから大丈夫」
I got off my bike and walked it up the hill.
「私は自転車から降りて、自転車を押して丘を上がった」
(2)(walk out on ~の形で)「~を見捨てて出ていく」
Nick walked out on his wife and children.
「ニックは妻と子どもを見捨てて出ていった」
My wife walked out on me for another man.
「妻は私を見捨てて、別の男のところへ行った」
◆ forと組み合わせることで、「~を見捨てて…のところへ行く」という意味を表せる
(3)(walk ~ throughの形で)「~にゆっくり説明する」
Calm down and walk me through what happened.
「落ち着いて、何が起きたのかを説明してくれるかな」
◆ throughの後に、具体的に「説明する内容」を続けることが多い
Don’t worry. He’ll walk you through the procedure.
「心配しないで。彼が手順をじっくり説明してくれるから」
◆ walk ~ throughから派生したwalk-through(段階的な説明、ゲームの攻略ガイド)という名詞も覚えておこう。他にも、walk-throughは「通り抜け通路、リハーサル」などの意味でも用いられる
□ procedure(名) 手順
(本稿は『5分間英単語』から抜粋・編集したものです。)