翔太郎氏は、免税にもならない高級ネクタイを大量購入したいのであれば、公務を抜け出さず、日本で時間のある時にゆっくりやったらよかった。閣僚以外にお土産を配ったのかどうかは報道で明らかになっていないが、ロンドンで買ってきました!というのが、地元支援者の心に刺さるのだろうか。
もはや、機密費やら、政務秘書官の多額の報酬で金額が気にならなくなっているのかもしれない。とにかく、ゼレンスキー大統領への「必勝しゃもじ」にも似た無神経ぶりと通じるものがある。
安倍元首相が伯父、岸前防衛相が父
岸信千世氏の残念な見解
安倍晋三元首相が伯父、岸信夫前防衛相が父であり、その二人の志を引き継ぐとうたう岸信千世氏も、世襲政治家の最たる例だろう。衆院山口2区の補選(4月23日投開票)に出馬を予定する信千世氏は、「すばらしい」「お手本にしたい政治家」を強いて一人挙げろと言われて、麻生太郎自民党副総裁の名を出している。その理由は、こうだという。
「(父・信夫氏と二人で麻生事務所へ信夫氏の政界引退のあいさつへ行ったとき)大変丁寧に接していただき、最後は部屋の外まで出て自ら見送ってくださった。麻生さんの会館の事務所は一番奥まった位置にあるんですが、車椅子に乗った父と私たちがエレベーターホールに向かって歩いているその姿が消えるまで、ずっと私たちの後ろ姿を見送り、最後は深々とお辞儀をしてくださった」(月刊Hanada、23年5月号)
彼は、家族・親族である安倍元首相や岸前防衛相の近くで、何を学んできたのだろうか。
このお手本にしたいという場面は、礼儀作法としては100点かもしれないが、それが、日本をどう導くか、日本経済をどう発展させるかというリーダーシップという観点が一切欠けている。
この麻生氏が見せた丁寧なお見送り(元首相の実弟で元防衛相が、引退するとわざわざあいさつしに来たのだから、それぐらいして当然だと思う)は、地元の有権者や党内の人間関係には有効かもしれない。しかし、これが日本を引っ張っていこうとする人が真っ先に挙げるエピソードなのだろうか。
一部の世襲政治家が繰り出す
小手先のテクニック
日本の一部世襲政治家による小手先のテクニックというのは、たたき上げの政治家にとっては脅威となっているのではないだろうか。
岸田首相の誕生前夜、目前に迫った衆議院選挙を乗り切るため、自民党では21年9月、当選3回以下の議員90人による「党風一新の会」が結成された。その発足時の世話人代表が福田達夫氏、副代表が武部新氏だった。言うまでもないかもしれないが両人とも、世襲である(福田康夫元首相の子どもと武部勤元自民党幹事長の子ども)。