日本人を対象とする大規模な縦断的研究から、胆石のリスク因子が報告された。ピロリ菌感染などの従来あまり知られていなかった因子が、胆石発症に関連していることや、女性よりも男性の方がハイリスクであることなどが明らかになったという。静岡社会健康医学大学院大学の東園和哉氏、中谷英仁氏、藤本修平氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に12月30日掲載された。
胆のうや胆管にできる結石「胆石」は、詳しい検査をすると成人の10人に1人に見つかるとされるほど多いもので、大半は無症状。ただし、膵炎や胆道閉塞、胆のうがんのリスクと関連していることが知られており、また感染を引き起こして強い痛みや発熱が生じ緊急手術が必要になったり、時に命にかかわることもある。よって、仮に修正可能な胆石のリスク因子があるのなら、それらに対して予防的に介入することのメリットは少なくない。しかしこれまでのところ、胆石のリスク因子に関する日本人での大規模研究は実施されておらず詳細は不明であり、胆石予防のための積極的介入を行うという公衆衛生対策もなされていない。この状況を背景として東園氏らは、静岡県の国民健康保険および後期高齢者医療制度のデータを用いた後方視的縦断研究を実施し、日本人の胆石発症リスク因子を探索した。