妻の浮気が夫の仕事にダメージを与えるケース

 「いまだに妻への怒りは収まりませんが、今はできるだけ早く離婚できてよかったと思うことにしています」と語るK太さん(43歳・経営者)。父親が病院を経営、兄はそこで医師として勤務、K太さん自身も医療関係の施設を数カ所経営していて、地元では有名な、いわゆる「エリート一家」とのこと。

 結婚は、K太さんが30歳の時。「大学を卒業したばかりだという資産家の娘を両親から紹介されました。それまでも付き合っていた相手は何人かいましたが、『遊びと結婚は別もの』と考えていたので、両親からの勧めなら失敗しないかなと思い、結婚を決めました」

 結婚して3年目に長男、その2年後に次男が誕生し、K太さんの家庭は順風満帆。「専業主婦の妻に家事や育児を任せることができたので、自分の仕事に集中できました」と、仕事も順調だったといいます。

 ところがK太さんが42歳、妻が34歳の時、夫婦に危機が訪れました。「僕のビジネスの後援者でもあり、家族ぐるみで親しくしていた男性の息子と妻が浮気をしていたことが発覚したんです。しかも妻の浮気相手は、当時まだ大学生だったということもあり、地元では大スキャンダルとして広まり、知らない人はいないほどのニュースになりました」

 浮気のきっかけは、家庭を顧みず、仕事に明け暮れていたK太さんへの不満が募り「寂しかったから」。K太さんいわく、「確かに家のことはすべて任せていましたが、妻のことは愛していたし信頼しきっていたので、浮気を知ったときは愕然としました。さらに浮気相手が後援者の息子だと分かり、家庭だけでなく、ビジネスも台無しになるようなことをしでかした妻に対して、怒りの感情しかありませんでした」

 浮気について妻はK太さんに謝罪をし、夫婦で何度も話し合ったものの、K太さんは妻のしたことを許すことができなかったといいます。「妻には『別れたい。二人の息子は僕が育てる』と伝えました。ところが、妻のほうは『別れたくない。あなたとやり直したいし、子どもと一緒に暮らしたい』の一点張り。そのことを両親に相談したところ、すぐに弁護士を付けることになりました。その後まもなく、妻のほうも弁護士を立ててきたのです」

 夫婦がお互いに弁護士を立てて話し合いを進めることは、K太さんにとっては好都合でした。「夫婦間の話し合いでは、どこまでいっても平行線のまま長引くだけ。妻のスキャンダルが原因で実家の病院の評判もこれ以上落としたくなかったし、僕自身のビジネスにも悪影響を及ぼすので、できるだけ早く決着をつけたかったんです。もちろん、子どもたちを守るためにも。そのためには、弁護士同士で離婚の条件を話し合ってもらうのがベストだと考えました」

 その結果、K太さんの希望通り、子どもたちの親権もK太さんのものになり、時間をかけずに離婚することができたのでした。「妻に対しては、感情面で納得できていない部分ももちろんあります。周りには『若い妻に逃げられちゃいまして(笑)。一応、円満離婚ということで別れました』と自虐的に伝えていますが、僕自身はまだ怒り心頭だし、離婚もぜんぜん円満なんかじゃないと思っています。でも、そのことでいつまでも面白おかしくうわさされるより、一刻も早くこの話題を世間に忘れてもらいたい、というのが本音です」