「4本一気抜き」はありか?
理想的な抜歯の方法
昨年、トーク番組で女性タレントの方が時間を無駄にしないために「親知らず一気に4本抜き」をしたと話したことがニュースになりました。しかし、その後の番組収録では口の周りが血だらけになって困ったとの裏事情も加えていました。きっと4本とも難易度が低い状態の親知らずと僕は推測します。
海外では保険診療の関係で、全身麻酔で4本を一気に抜歯するケースはありますが、日本では通常、親知らずを4本一気に抜歯しません。医療は安全が担保されることが第一優先事項です。
理想的なのは、1本ずつ親知らずを抜くことです。比較的簡単な上の親知らずを1本抜いて、2週間程度して傷口が落ち着いたら反対の上を向きます。さらに2週間後、下の親知らずに移りますが、1本抜歯した後は4週間してから最後の親知らずを抜きます。下の方がダメージは大きいので傷口が癒えるまで4週間かかるからです。この方法だとダメージが小さく、食事の障害も少ないので、生活もあまり制限されません。
しかし治療期間が長くなることから、効率的に抜歯を希望される方もいます。その場合は同側の上下の親知らずを同時に抜歯することをご提案します。術後に腫れて食事が取れにくくなっても、反対側の歯で食べることができるからです。傷口の経過にもよりますが、2~4週後に反対の上下の親知らずを抜歯します。