ただ、「退職金で投資デビュー」だけは絶対に禁物です。単に投資の経験不足だからというだけではありません。そういう人は結構、投資を甘く見ている人が多いからです。

「退職金でデビュー」は
投資を甘く見ている

 退職金で投資を始めて失敗した人を今までたくさん見てきましたが、その人たちの多くは現役時代に投資はまったくやったことがない人です。むしろ、「投資は不労所得だ。株なんかやる奴は人間のクズだ」くらいに投資に対して強い嫌悪感を持っていた人もいます。

 そういう人が嫌悪感を持ち続けて投資をしないのであれば、それはそれでかまわないのですが、そういう人でもまとまったお金を手にすると色気が出てきてしまうのが問題です。

 特に退職時にマーケットの環境がよいと、周りに儲かった人がいます。自分もやれば簡単に儲かるのではないかと誤解してしまうのです。特に「投資は不労所得だ」くらいに思っている人は投資を甘く見ていますから、余計にそう思いがちです。

 でも投資で儲けようとするには実際には相当な努力と勉強をしないといけないのです。

 退職を機に投資を始めるのは悪いことではないですが、焦ってまとまったお金を1度に投入するのではなく、少額で少しずつやりながら、多少の失敗も経験していくことが大事です。

 ところが金融機関にとって退職者というのはまとまったお金を入れてくれる最重要顧客ですから、いろいろ甘い言葉で近づいてくるのは当然です。

 退職した後は人とのつながりが切れてしまいがちなので、そうやって親切によく話を聞いてくれるのは「自分に対して好意を持ってくれている」と思うかもしれませんが、好意を持っているのはあなたにではなく、あなたの退職金に対してだということを忘れてはいけません。

 いうまでもありませんが、私は投資を否定はしていません。ただ、投資で資産を作るためには時間が必要です。

 ですから、投資を始めるのであれば、できるだけ若いうちから少しずつやったほうがいいのです。

 最近では平均寿命が伸びているので、50歳や60歳から投資を始めても必ずしも遅いわけではありません。ただ、経験のない人や不慣れな人は、1度に投資するのはNGだということです。

 特に老後不安に駆られて投資しようとする場合、早く成果を出したがる傾向があるので、よほど注意することが必要でしょう。

妻・加代の言い分
「おひとりさま老後で頼れるのは“お金”」

 私が1人になった時の年金収入の手厚さに執着するのは、年金収入が少なければ、自分の資産から取り崩していく額が大きく、資産が底を着くのではないかという恐怖があるからです。