書影『お金・仕事・生活…知らないとこわい 定年後夫婦のリアル』(日本実業出版社)『お金・仕事・生活…知らないとこわい 定年後夫婦のリアル』(日本実業出版社)
大江英樹・大江加代 著

 夫と2人の時と事情が異なるのは収入面だけでなく、支出面でもそうです。

 例えば、夫が年老いて介護などが必要になったときには、私が一定程度のサポートを行い、自力でできない部分があれば外部に料金を払ってお願いします。

 でも、私の時はそれらすべてを誰かに対価を払ってお願いしなければいけないでしょう。夫との年齢差もあるため、一人で過ごす晩年は長くなる可能性が高いです。そして、その時の費用がそれなりに必要になりそうです。

 年を取ってお金がかかりそうなことといえば、医療や介護がまず頭に浮かぶと思います。

 医療についていえば、治療費や入院費を支払うことになるのはもちろんですが、入院や手術をするときには、身元保証人や手術の同意をする人が必要です。身元保証人に求められる役割は、治療費などの支払いの保障と、転院が必要になったときや死亡したときのサポートや引き取りです。

 夫が入院した場合は私が対応するのですが、私が高齢でそうなったとき誰に頼むのか――。自分の子がなく、年下の兄弟姉妹もいない私は、外部のサービスを利用するしか方法がありません。

 介護についても、体力や気力の低下、認知症の発症などにより、1人での生活が難しくなったときに、食事の世話や洗濯や掃除などの家事といったことを頼む必要があります。施設に入れば一気に解決ですが、そこへたどり着くまでは、自宅で有料サービスを利用しながら暮らすことになります。

 死亡した時も、行政への手続きや遺体の焼却、現物だけでなくデジタルを含めた遺品整理等々、いろいろなことを頼む必要があります。

 このあたりも、親や夫は私が対応しますが、自分自身はお金で解決せざるを得ないわけで、夫とは少し違う老後資金が晩年に必要だと思っています。

 おひとりさまが増えること、そして今後も増える見込みであることから、おひとりさま向けの行政のサポートやサービスは確実に増えています。

 商品やサービスとしては、信託銀行などの金融機関や司法書士事務所が行うタイプや、一般社団法人という形式をとってパッケージサービスを行うタイプなどがあって、費用も、そのサービスのレベルも、個々で相当な差がありそうです。

 これから競争原理が働いて悪質な商品・サービスは淘汰され、いいものになっていくのではないかと期待しています。

 まだ少し先のことでもありますので、ゆるく情報収集を続け、周りの人たちとも情報交換しながら、価格・サービスともに安心できる先を時間をかけて見つけるつもりです。

 女性に限りませんが、おひとりさまの老後は「お金が大事である」ということは知っておくべきでしょう。